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【検証】有店舗小売業通販の実力は本物か──店舗補完から有力チャネルへ

 1-1.jpg百貨店やGMS、専門店などの有店舗小売事業者が行う通販の取り組みが積極化している。もともと有店舗小売業者の通販は、品そろえや未出店エリアの補完的な位置付けでスタートしたところが多いが、この数年、小売各社の間で通販を新たな販路の柱に育成する動きが活発化している。この背景には、消費者の間でネット販売がすでに商品の購入場所として定着しているほか、経営の効率化を図っていく上でも有力なツールになることなどが挙げられる。本紙が行った「第54回通販・通教売上高ランキング」でも、有店舗小売業者の通販は概ね拡大基調にあり、今後さらに勢力を拡大させる可能性もありそうだ。主な小売系兼業通販をピックアップし、業態や商材などの角度から各社の現状や戦略を見てみる。

企業ごとに明暗ネット等強化へ

 有店舗小売事業者が行う通販の代表格とも言える百貨店で順調なのは、ネットを軸に衣料品などを展開する伊勢丹。09年度の売上高は50億円で、前年比14・3%増と2桁の伸長だった。この背景には、昨秋から開始したネット販売の新たな試みがあるようだ。
 
 それまで同社は、新宿店の店頭商品を通販サイト「アイオンライン」で衣料品などを販売。ファッションアイテムの中でも"尖った"商品を扱う売り場と位置付けていたため、店頭向け在庫の一部を販売していたにすぎなかったが、昨年9月に伊勢丹新宿店メンズ館と同じ商品を扱うサイト「イセタンメンズオンラインショップ」を開設した。
 
 同サイトでは、ネット販売向けの在庫を確保する体制とし、ナショナルブランドファッションの取り扱いも開始。ターゲットを広げ販売量の拡大を図る戦略で、バックヤード業務に外部業者を活用するなど、新たなスキームの確立を目指す。
 
 一方、三越は09年度の通販売上高が前年比9・6%減の295億4600万円と2期連続の減収だった。物流センターの移転に伴うカタログ発行の遅れやカタログの種類の絞り込み、景気低迷の影響などから、アウトレット系のカタログが苦戦。テレビ通販も食品や宝飾品の落ち込みが目立った。
 
 今後は、店頭ハウスカード会員へのカタログ請求DM送付や、実店舗に足が遠のいた顧客に対する通販の切り口でのアプローチなど、店舗基盤を活かした取り組みを推進。また、テレビで説明商材が健闘したことを受け、ストーリー性の高い商品を集めたカタログ「定番物語」の掲載商品のテレビ展開も視野に入れる。
 
 また、高島屋の通販売り上げも181億3000万円と、前年比4・1%の減収。同社は昨年、カタログ通販部門と店頭商材のネット販売を行う「オンライン事業部」を統合し「クロスメディア事業部」を新設。同部署に無店舗販売の全事業を移管した。これによりネット販売およびテレビ通販の売り上げは前年をクリアしたが、主力のカタログ通販の不調が響いた。
 
 今期はネット販売の強化を進める意向で、今年3月に従来3つに分かれていた通販サイトを「高島屋オンラインストア」に統合。新サイトで店頭やカタログと連動した企画などを行い、減収傾向に歯止めをかける構えだ。
 
 百貨店通販では、不況の影響などもあり、企業ごとに明暗が分かれる形となったが、主力のカタログが苦戦を強いられる中、テレビやネットをいかに活用するかが基本戦略になっているようだ。
 
 一方、厳密には百貨店とは異なるが、同様に大型店舗を展開する丸井では、カタログは苦戦したが、ネット販売は同26・6%増の約157億円と好調だった。
 
 同社は、ネットで購入した商品の試着や受取り、返品ができる拠点を主要店舗に設置し、顧客の利便性を高めたことが奏効、ネット販売を拡大させている。実際、昨年4月に拠点を設置した新宿の店舗では前期中約2万人が利用し、うち60%程度が初めて丸井の通販を利用する顧客であるなど、新規開拓効果が見られたという。店舗の立地や客層によっても異なるが、店舗とネット販売との連携策として一考の余地はありそうだ。

グループ戦略でネット販売育成

 GMSでもネット販売を強化する動きが見られるが、現状、展開の拡大が目立っているのはネットスーパーだろう。
 
 大手GMSのイトーヨーカ堂では09年度のネットスーパー売上高が210億円。前年比61・5%増と大幅な伸びを見せ、同事業で単年度黒字を達成したとしている。この背景にあるのはネットスーパー対応店舗の拡大。前期末時点のネットスーパー対応店舗は118店で年間29店増加した。今年度は、対応店舗を150店に広げ、売上高は前期比42・9%増の300億円を計画する。
 
 一方、ネット販売についてはセブン&アイホールディングスグループとして新たな販路に育成する考え。
 
 この部分ではすでに体制を整備しており、昨年12月には書籍やDVD等のネット販売を手掛けるセブンアンドワイを、セブンネットショッピングに社名変更し、グループの基幹通販サイト「セブンネットショッピング」を開設。同サイトにグループ各社のネット販売を集約、有力なコンテンツを持つ事業者による専門店の展開を行っており、商品の共同開発やグループ店舗での販売なども視野に入れる。
 
 一方、セブン&アイの対抗軸となるイオングループでもイオンビスティ等を通じ通販を手掛けてきたが、デジタルダイレクト(DD)を傘下(イオンがDD株式60%を保有)におさめ、通販分野の強化に乗り出している。
 
 DDではテレビ、カタログ、ネットで通販を展開しているが、イオングループの一員となったのを機に通販サイトの構築をイオンビスティに委託し、システムからゼロベースで刷新。テレビで獲得した顧客をカタログにつなげ、さらにネット販売へ誘導するというスキームの確立を目指す。これにより、イオングループとしても新たな通販の基盤が整うわけだ。
 
 セブン&アイグループおよびイオングループでは、GMSを中心に様々な業態を展開しており、顧客基盤は幅広い。もともと商品開発力や調達力に定評があるが、今後、店舗とネット販売を組み合わせたスキームを確立できれば、専業通販企業にとっても看過できない存在になりそうだ。

価格と商品力武器に売り上げを拡大

 衣料品の専門店通販で注目されるのは、やはりユニクロだろう。09年度のネット販売売上高は、前年比31・0%増の188億5400万円。伸長率は国内ユニクロ事業全体(16・4%増)よりも14・7ポイント高く、その好調振りがうかがえる。
 
 この要因となっているのは、08年6月に行ったネット販売事業の体制見直し。具体的には、ネット向けの独自開発商品を取り止め、販売効率を徹底的に追求するといった戦略で、これにより商品動向の把握や在庫、販売管理の精度が向上し、ネット販売の販売力を高めることにつながった。
 
 また、昨年3月にはサイトを刷新。それまでテレビCMなどの「情報」と、ネット販売の「物販」に分かれていたウェブサイトを統合することで、分散していた顧客を新サイトに誘引。さらにサイトの使い勝手を向上させ、実購買につなげた形だ。
 
 無論、同社の基盤にあるのは商品開発力。過去に「フリース」などの大ヒット商品を生んでいるが、直近でも発熱・保温素材を使った「ヒートテック」や、ブラジャーとトップスが一体型となったブラカップ付きトップス「ブラトップ」などの肌着がヒットし売り上げを牽引している。ユニクロのネット販売は、既に有力な販路として地位を確立しているが、その背景には、時流にあわせ思い切った施策の転換ができることがあるようだ。
 
 一方、家具・インテリア系の専門店のニトリも売り上げを順調に伸ばし、09年度の売上高は本紙推定で35億円と2桁の伸長となったようだ。
 
 景気低迷の影響で、総合通販などでは家具・インテリアが苦戦したが、同社の場合、円高の恩恵で値下げした海外生産商品などが好調に推移。実ネット販売の売り上げ増の大きな要因になった。
 
 今期は物流周りの整備や取扱商品数の拡大のほか、トータルコーディネートを重視した戦略を推進。早期の50億円突破を目指す。ユニクロおよびニトリに共通する強みは、海外生産拠点を活用した商品調達力と価格競争力。また特定のカテゴリーに特化しているだけに商品力も高く、専業通販にとっても手強い競争相手だ。

高い成長力見せる家電量販店系通販

 また、小売系兼業通販で一大勢力を形成しているのが家電製品を扱う企業だ。売り上げの状況を見ても、量販店系で上新電機の376億4600億円(手数料収入等含む)、ヨドバシカメラの350億円、ビックカメラの192億5000万円、ソフマップの150億円などが、100億円規模を構築。伸び率も2桁のところが少なくなく、依然、高い成長力を見せている。
 
 もともと家電のネット販売は、独立系の激安通販サイトがけん引してきたが、店舗間の競争が激化する中で、家電量販店が新たな販路として、同市場に参入。ネットへの店舗のポイントの開放や店頭受け渡しなど、既存の店舗資産を活用したサービスの展開で顧客の取り込みを進めている。
 
 少子高齢化に伴い市場の縮小が進む中、有店舗小売業は、従来の店舗増をベースにした業容の拡大は難しくなりつつあり、経営効率化などを図る上でも、ネットの取り組みを強化してくるのは必至。今後、通販市場における有店舗小売業が手掛ける通販の存在感は増していきそうだ。

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