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変われるか?JADMA、宮島新会長通販協の変革を推進へ、多様化するニーズの取り込みがカギ

法律相談や広報機能強化

日本通信販売協会(JADMA)が"変革の時"を迎えている。通販市場の順調な拡大の中、唯一の業界団体であるJADMAの会員社数は伸び悩みを見せ、存在感が薄れてきている。成長をけん引する新興通販企業が「入会のメリット」を見出せないためだ。近年、通販への行政介入や規制強化が目立つが、こうした市場発展を阻害する横槍には、時に業界が一丸となり、物申していく必要があるが、その受け皿たるJADMAのこうした現状に新会長に就任した宮島氏は危機感を募らせる。「JADMAは変わるべきだ」と。
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「通販の市場規模は昨年度に4兆円を突破した。過去10年で倍近く伸び、右肩上がりだ。しかしその一方で協会の会員数は伸び悩んでおり、この1、2年はわずかながら減少している。早急な対策を講じる必要がある」。

 6月4日に開催された通常総会でJADMA会長に就任した宮島和美氏(ファンケル会長)は総会後の記者会見で危機感を持って、JADMAの状況をこう話した。

 宮島会長の言う通り、通販市場は順調に拡大を続けている。昨今の不況の中でも他の業界の苦戦を横目にむしろ、「巣ごもり需要」を獲得。不況すら追い風とばかりに成長に陰りの色は見えない。

 ただし、こうした市場の成長をけん引する大きな要因は既存の通販事業者の業績拡大というよりは、ネットを主軸に通販を展開するネット販売専業社。また、販路の1つとして通信販売を開始したメーカーや有店舗小売業など。言わば「新興の通販実施企業」が市場拡大のけん引役として、市場規模を底上げしているわけだ。

 次代の通販市場を構成していくであろうこうした新顔の多くは、唯一の通販業界の業界団体であるJADMAに入会していない現状がある。特にネット販売専業社などは顕著で例えば、ここ数年間の通販市場の拡大に明らかに大きな貢献をしてきたであろうアマゾンジャパンや楽天なども入会していない。

 「(お金を払って入会して)何かしてくれるのか。メリットはあるのか」「無駄なコストは払いたくない」「我々はネットショッピング。いわゆるカタログ通販ではないから、立場も違うし入会の必要がないのでは」。

 新興のネット販売専業社にJADMAに入会しない理由を尋ねると、このような意見が多い。こうした意見は特異なケースではない。だからこそJADMAの入会者数が増えず、むしろ減少傾向となっているわけだ。

 無論、JADMAでは様々な取り組みを実施している。会員社への情報提供や各種のセミナー、行政への意見具申などなどだ。一方で消費者サイドの信頼獲得のため「JADMAマーク」の普及促進や消費者からの通販に関する苦情・相談を受ける「通販110番」なども実施し、市場の健全発展に貢献してきたことは言うまでもない。

 しかし、結局のところ、新興の通販実施企業からすると、それらJADMAの活動は「入会するほどのメリットではない」(ネット専業A社の幹部)のだ。

 どこかの団体が会員のニーズを拾えずに存在感を失って役割を終えるのは仕方がない。しかし、JADMAは繰り返しになるが日本で唯一の通販業界の業界団体だ。しかも、法律で業界団体が規定されるケースは珍しいが通販を規制する特定商取引法の中で「通販業界を取りまとめる団体」と明記されている。つまり、JADMAは国や行政から「通販業界の意見」を聞く際の窓口として認識されているわけだ。

 昨年、大きな話題となった大衆薬を巡る通販規制やテレビ通販を巡る総量規制の動き、青少年保護に関連するフィルタリング問題など通販に関連する行政からの介入や規制強化などの話は近年、目立ってきている。通販市場は今後も、新たなデバイスの登場や普及、ネット販売の広がりなどで拡大が見込まれており、そうなれば今後、より多くの行政からの横槍が増えてくることが予想される。

 この際、市場の発展を阻害するような規制に関しては、業界が一丸となって、行政などに物申す必要があるわけだ。これまではJADMAが「通販業界の総意」として意見具申をしてきたわけだが、JADMAが現状のように加盟企業を増やせないままの状態だと、JADMAの意見は行政からは「通販業界の総意」とは見なされなくなる可能性もあり、規制などへの対抗上、まずい事態となるかも知れない。

 また、市場のプレイヤーを一定数おさえることができなければ、JADMAが策定した倫理要綱や各種ガイドラインなど「通販事業者が守るべき自主規制」が適用されないプレイヤーが増え、縛りがきかず、様々な問題が出てきて、結局は法律で通販がさらに規制されるなどといった懸念も出てくるわけだ。

 それではJADMAが存在感を再び取り戻すには、つまり会員社数を増やすためには、一体どうすべきなのか。それには「会員各社のニーズを汲み取り、入会したくなるメリットが必要」(宮島会長)ということだ。

 会員社数の拡大という命題に答えるため、宮島新会長はJADMAの変革を今後、推進していく考えのようだ。手始めに掲げたのは「法律相談の強化」と「広報機能の充実」だ。

 これまでも法律相談業務は実施してきたが、宮島会長の下、さらに体制を強化していく考えだ。通販には特商法や景表法、健康増進法、薬事法などなど様々な法律に縛られており、複雑だ。

 通販を行なうにはこうした法律の遵守が絶対条件になる。例え単純なチェックミスや関連法の知識不足など故意ではないにせよ、法に抵触すれば、行政からの指導やそれを報道され、消費者の信用を大きく毀損し、業績面に大きな悪影響を及ぼす可能性があるからだ。そうならないようにするには法律の専門知識が必要になるが中小事業者ではこうした体制を整えるのは困難だ。

 そこでJADMAが法律セミナーの開催や専門知識を持つ人材の育成を進めるなどで支援体制を強化。通販を行なう事業者であれば、誰もが必須となるこうした法律相談の強化は入会を促す大きなメリットの1つになると考えられる。

 そして「法律相談」などの試みを含め、JADMAがこれまでも実施してきた様々な活動を協会内外に告知する広報体制を強化することで、「入会のメリット」をネット販売専業社などにアピールし、入会を促し、今年度は40社程度の新規会員社を獲得するとしている。

 無論、宮島会長が示した変革案だけで、JADMAの存在感がすぐに向上するとは考えにくい。JADMAが創設された4半世紀前のように通販媒体はもちろん、それぞれの事業者の立場もある程度、限られていた以前の通販業界とは異なり、現状の通販業界は前述したように、従来からのカタログ系通販企業のほか、ネット販売専業社、メーカー、有店舗小売業、放送事業者、通信事業者など立場が大きく異なる非常に多くのプレイヤーで構成されるようになった。通販に対する考え方や売上規模なども多様だ。

 つまり、それぞれの企業がメリットだと感じるものは別々に存在し、こうした多様なニーズを汲み取り、具現化することができなければ、JADMAの通販業界における存在感はなかなか増していかないと思われる。まして「法律相談の強化」だけではすまないだろう。しかし、多様化するニーズの具現化はそれぞれにニーズを洗い直し、優先順位をつけて実施していかねばならず、容易なことではない。

 とは言え、「JADMAの存在感を高めるための変革」を掲げて、「始めの一歩」を踏み出した宮島新体制には期待したいところだ。

 JADMAは現状に合わせて変革し、今後の通販業界の中で存在感を示すことができるのか。今後のJADMAの動きが注目されそうだ。

宮島会長と記者との一問一答
「会員社数の拡大を」、健食巡る問題に注目


日本通信販売協会は6月4日に行われた通常総会で宮島和美氏の新会長就任を発表した。宮島会長は、総会後に行われた会見で、「法律相談」強化と「広報機能」の充実を今後の方針として掲げた。会見での記者と宮島会長との一問一答は以下の通り(一部抜粋)。
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 「法律相談」について、今後どのような体制で臨まれるのか。

 「これまではPR不足もあって利用は少なかった。経済産業省と公正取引委員会出身のスタッフを中心にチームを組んで対応したい」

 会員数の横ばいが続く一因にネット専業企業の取り込みが遅れていることがある。どのように入会を促していくか。

 「受け皿として『WEB・TV委員会』がある。ネット企業の多くはまだ規模が小さく、関連法規の対応に人員を割けないところも少なくない。『法律相談』はそうした企業の事業活動に資するものと考えており、その点をPRしていきたい」

 今年度の入会社数の目標は。

 「40社だ」

 今の通販業界全体が抱える課題にはどのようなものがあるか。

 「健康食品のあいまいな位置づけを巡っては長年、議論の対象となっている。加盟企業には健食の取扱い企業が多く、昨年、民主党のマニフェストで初めて触れられ、ようやく遡上にあがってきたと感じている。そのほか(通販サイトへの不正アクセスに伴う)個人情報漏えいなど、ネット上におけるセキュリティの問題がある」

 健食の問題に協会としてどう取り組むか。

 「『サプリメント部会』を設け、昨年、広告表示等に関するガイドラインを制定した。今は細則を検討している段階だ」

 消費者庁では健食表示の問題を討議する検討会が設置されている。協会としてどう対応していくか。

 「健食表示を巡る議論については期待と同時に協会として大きな責任感を感じている。健食市場は1兆円超に達しているが、未だに消費者の選択基準となる表示は行えない。消費者の『知る権利』は非常に重要なものと考えており、誤解を与えない表示はさせてもらいたい。そろそろ明確な位置づけを与える時期が来ているのではないか。すぐに結論が出るとは思わないが(行政サイド)には検討課題として継続的に取り上げてもらいたい」

 医薬品ネット販売規制を巡る行政訴訟では、対面販売と通販の差異について見解が示された。この結果をどう思う。

 「ネット販売を利用せざるを得ず、その必要性を感じている消費者も存在する。一律に規制するのではなく、適切な販売環境を整えた上で医薬品のネット販売を認めていく方向性があっても良いのではないか。海外からもネットを通じて購入できる状況にあり、国内の規制だけを捉えて済む問題ではない」

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