健康関連商品のネット販売を手掛けるケンコーコム(本社・東京都港区、後藤玄利社長)は、今後の事業拡大に向けた戦略の転換期に差し掛かっている。これまでロングテール戦略を軸に売り上げ規模を拡大してきたが、品揃えの拡充に伴う効率性の悪化、低価格志向を背景にした同業他社との競争激化や本サイトからの仮想モールへの顧客流出など収益面での課題が浮上しているためだ。これに対し同社は、基盤となる商品の角度から独自性を追求した取り組みを推進。ロングテールプラスαの新たな成長ドライバーを確立させ、収益基盤の強化を図る構えだ。

売り上げ拡大の効率悪化が課題
2010年3月期の連結業績で売上高が前期比21.7%増の125億4500万円、営業損益が2期連続の赤字から1億3900万円の黒字に転換したケンコーコム。消費低迷など厳しい市場環境を考えれば、健闘した部類に入るだろう。

これまで健康関連商品のネット販売をメーンに幅広い商品を取り揃えるロングテール戦略で事業規模を拡大してきた同社では、取扱商品数が既に10万品目を超えるが、後藤玄利社長は今後の展開に危機感を抱いている。「ロングテールによる売り上げ拡大の効率が悪化している」(後藤社長)ためだ。
取扱商品数の増加に応じた形で売り上げも伸びる。これはロングテールの一つの特徴で、同社もこの流れに乗って成長を続けてきたが、取扱商品数の拡大とともに改廃商品も増加。仮に10万品目の商品を1万品目純増させようとすると、改廃商品の減少をカバーするため、「実際には3、4万品目を投入しなければならない」(同)。取扱商品数が少なかった頃は、1万品目を追加するだけで応分の売り上げがついてきたが、10万品目を超える規模になると、1万品目分の売り上げアップを図るのに数倍の労力が必要になるわけだ。
一方では、健康関連商品ネット販売に参入する事業者が増え、価格競争が激化。同社としても価格戦略を打たざるを得ない状況となり、この関係で07年3月期で34.6%だった粗利益率は31%台後半にまで下落するなど、収益面を圧迫する形となっていた。
前期は、パンデミック特需などもあり、増収および営業黒字化という結果を残したが、収益性の改善に向けた抜本的な戦略の見直しが必要となっているわけだ。
ロングテールの"曲線"を変える
ケンコーコムは今期以降、どのような戦略を展開していくのか。これについて後藤社長は「ロングテールが成長のドライバーであることに変わりはないが、その"曲線"を変えていく」とする。
売上高を縦軸、商品を横軸に取ったロングテールの曲線は、ヘッド部分に当たる売れ筋商品の山があり、そこから急角度に下降曲線を描いて、あまり回転しない商品のテール部分がなだらかに続く。これに対し同社が考えているのは、売り上げのけん引役となる商品を開拓し、ヘッドからテールに流れる曲線の角度を緩やかにすることだ。
問題は、けん引役となる商品をいかに開拓するかだが、海外子会社のケンコーコムUSAとケンコーコムシンガポールを活用し、米国など海外のNB商品を調達。圧倒的な価格競争力を持つ商品、あるいはケンコーコムでしか購入できない商品など、優位性を発揮できる商品を作っていく考えだ。
同社では、4月下旬からミネラルウォーター「クリスタルガイザー」(500ミリリットル64本セット)を1本当たり32円という価格で販売しているが、これはケンコーコムUSAを通じ米国から直輸入しているもの。海外の商品調達機能の活用による圧倒的な価格競争力を持つ商品の開拓事例と言えるだろう。
このほかにも、近くビタミンなど米国のサプリメントをケンコーコムシンガポールの通販サイト通じ個人輸入の形で扱うことを予定。同社は前期、健康食品の売上構成比拡大を目標の一つに掲げていたが、日本国内で販売されている商品よりも割安感があり、「加工技術が高く品質もいい」(後藤社長)米国のサプリメントをグループの差別化商材の一つとしていく構えだ。
本サイト集客力アップもカギに
グローバルな調達力を活かした商品展開を通じ、今後の成長をうかがうケンコーコムだが、解消すべき大きな課題がもう一つある。本サイトの集客力アップだ。

特に同社が問題視しているのは、本サイトから仮想モール支店への顧客の流出傾向が見られること。これは、顧客がポイント特典など実質的な値下げが行われている仮想モールに魅力を感じていることが要因の一つとなっていると見られるが、実際に07年度で58.6%だった本サイトの売り上げ構成比は09年度で44.6%に下落。これに対し、仮想モール支店は、楽天支店が30.1%から40.1%になるなど、軒並み売り上げ構成比を上げている。
仮想モールには、爽快ドラッグのような競合他社も出店しており、より魅力的な価格やサービスで商品を提供できなければ、顧客が競合他社に流れることにもなりかねない。また、仮想モール支店で売り上げが取れたとしても、運営事業者に対する手数料などの販売コストが発生することを考えると、収益性の面にも少なからず影響が出てくることにもなるわけだ。
このためケンコーコムでも本サイトの集客力強化を進めていく意向だが、ベースに据えているのは、海外からの商品調達などを通じ「商品に圧倒的な価格競争力をつけること」(後藤社長)。このほかに、独自のポイント制導入などサービス面の強化、サイトのリニューアルなども計画し、「顧客の健康に役立つという原点に回帰し、サイトを改善するということに重点的に取り組んでいこうと考えている」(同)とする。
これまで、ロングテール戦略を基盤に事業を拡大させてきたケンコーコム。さらに新たな成長のドライバーとなる施策を早期に確立させ、健康関連商品ネット販売市場での存在感を示していく構えだ。
後藤社長に聞く、今後の成長戦略、
"ドライバー"商品を作る、海外商品調達昨日フル活用
ロングテール戦略で売り上げを拡大してきたケンコーコム。その戦略が転換期を迎えた今、更なる成長に向けどのような取り組みを進めていくのか、後藤玄利社長に話を聞いた。
これまで取り組んできたロングテール戦略が曲がり角にきているようだが。
「ロングテールで品揃えを増やしていくと、それに応じて売り上げも伸び、例えば1万品目の商品を2万品目すると、売り上げも倍になる。だが、ある程度の規模になると効率が落ちてしまう。10万品目の11万品目に増やそうとすると、実際には3、4万品目の商品を追加しなければならない。改廃やリニューアル等で2、3万の商品は落ちてしまうためだ。一方で、ロングテールの効果による売り上げは1.1倍にしかならない。当社でも、取扱商品数が7、8万品目の頃から、効率悪化の傾向が出ていた」
ロングテールの効率悪化に対し、どのような対応策を講じていこうと考えているのか。
「けん引役の商品を作るということだ。これは今期の一つのテーマでもある。これにより、テールの末端までの長さが同じでも、ヘッドからテールにかけて下る売り上げ曲線の角度をなだらかにする。そうイメージしてもらえればいい」
具体的な施策は。
「商品の競争力や優位性といったことを考えると国内調達だけで限界がある。このため、当社の強みでもあるグローバルな商品調達機能を活かし、海外のNB商品を扱っていこうと考えている。これにより、水であれば圧倒的に安い、あるいはケンコーコムでなければ購入できない商品など優位性を発揮できるものを打ち立てていく」
海外の商品調達体制はどのようになっているのか。
「海外商品調達の拠点としては米国とシンガポールに子会社がある。米国の子会社は、もともと時差を利用した受注業務を行っていたのだが、新たに商品調達機能を付加した」
海外調達で成果を出している商品は何かあるのか。
「4月26日から販売している『クリスタルガイザー』(64本セット)がある。米国子会社を通じ直輸入することで1本当たり32円という価格を実現したものだが、売れ行きは好調だ。このほかにも、シンガポールの子会社が運営する通販サイトを通じ、米国のサプリメントを販売することも計画している。扱うのはビタミンなどだが、海外のサプリメントは国内よりも低価格で、加工技術が高く品質もいい。これは、前期に掲げていた健康食品の構成比を上げていくという施策にもつながるものだ」
本サイトから仮想モールに顧客が流れる傾向があるようだが、収益性を考えると課題だ。何か対応策は。
「ベースは、商品の圧倒的な価格競争力をつけることだ。このほかにも独自ポイント制度の導入やサイトのリニューアルなどを計画している。要は、物販以外の情報提供なども含めて顧客の健康作りに貢献するという原点に回帰すること。今期は、コンテンツの強化・拡充、あるいは顧客の商品リクエストに対応するなどの形でサイトを改善していくことに重点的に取り組んでいこうと考えている」
2010年3月期の連結業績で売上高が前期比21.7%増の125億4500万円、営業損益が2期連続の赤字から1億3900万円の黒字に転換したケンコーコム。消費低迷など厳しい市場環境を考えれば、健闘した部類に入るだろう。
これまで健康関連商品のネット販売をメーンに幅広い商品を取り揃えるロングテール戦略で事業規模を拡大してきた同社では、取扱商品数が既に10万品目を超えるが、後藤玄利社長は今後の展開に危機感を抱いている。「ロングテールによる売り上げ拡大の効率が悪化している」(後藤社長)ためだ。
取扱商品数の増加に応じた形で売り上げも伸びる。これはロングテールの一つの特徴で、同社もこの流れに乗って成長を続けてきたが、取扱商品数の拡大とともに改廃商品も増加。仮に10万品目の商品を1万品目純増させようとすると、改廃商品の減少をカバーするため、「実際には3、4万品目を投入しなければならない」(同)。取扱商品数が少なかった頃は、1万品目を追加するだけで応分の売り上げがついてきたが、10万品目を超える規模になると、1万品目分の売り上げアップを図るのに数倍の労力が必要になるわけだ。
一方では、健康関連商品ネット販売に参入する事業者が増え、価格競争が激化。同社としても価格戦略を打たざるを得ない状況となり、この関係で07年3月期で34.6%だった粗利益率は31%台後半にまで下落するなど、収益面を圧迫する形となっていた。
前期は、パンデミック特需などもあり、増収および営業黒字化という結果を残したが、収益性の改善に向けた抜本的な戦略の見直しが必要となっているわけだ。
ロングテールの"曲線"を変える
ケンコーコムは今期以降、どのような戦略を展開していくのか。これについて後藤社長は「ロングテールが成長のドライバーであることに変わりはないが、その"曲線"を変えていく」とする。
売上高を縦軸、商品を横軸に取ったロングテールの曲線は、ヘッド部分に当たる売れ筋商品の山があり、そこから急角度に下降曲線を描いて、あまり回転しない商品のテール部分がなだらかに続く。これに対し同社が考えているのは、売り上げのけん引役となる商品を開拓し、ヘッドからテールに流れる曲線の角度を緩やかにすることだ。
問題は、けん引役となる商品をいかに開拓するかだが、海外子会社のケンコーコムUSAとケンコーコムシンガポールを活用し、米国など海外のNB商品を調達。圧倒的な価格競争力を持つ商品、あるいはケンコーコムでしか購入できない商品など、優位性を発揮できる商品を作っていく考えだ。
同社では、4月下旬からミネラルウォーター「クリスタルガイザー」(500ミリリットル64本セット)を1本当たり32円という価格で販売しているが、これはケンコーコムUSAを通じ米国から直輸入しているもの。海外の商品調達機能の活用による圧倒的な価格競争力を持つ商品の開拓事例と言えるだろう。
このほかにも、近くビタミンなど米国のサプリメントをケンコーコムシンガポールの通販サイト通じ個人輸入の形で扱うことを予定。同社は前期、健康食品の売上構成比拡大を目標の一つに掲げていたが、日本国内で販売されている商品よりも割安感があり、「加工技術が高く品質もいい」(後藤社長)米国のサプリメントをグループの差別化商材の一つとしていく構えだ。
本サイト集客力アップもカギに
グローバルな調達力を活かした商品展開を通じ、今後の成長をうかがうケンコーコムだが、解消すべき大きな課題がもう一つある。本サイトの集客力アップだ。
特に同社が問題視しているのは、本サイトから仮想モール支店への顧客の流出傾向が見られること。これは、顧客がポイント特典など実質的な値下げが行われている仮想モールに魅力を感じていることが要因の一つとなっていると見られるが、実際に07年度で58.6%だった本サイトの売り上げ構成比は09年度で44.6%に下落。これに対し、仮想モール支店は、楽天支店が30.1%から40.1%になるなど、軒並み売り上げ構成比を上げている。
仮想モールには、爽快ドラッグのような競合他社も出店しており、より魅力的な価格やサービスで商品を提供できなければ、顧客が競合他社に流れることにもなりかねない。また、仮想モール支店で売り上げが取れたとしても、運営事業者に対する手数料などの販売コストが発生することを考えると、収益性の面にも少なからず影響が出てくることにもなるわけだ。
このためケンコーコムでも本サイトの集客力強化を進めていく意向だが、ベースに据えているのは、海外からの商品調達などを通じ「商品に圧倒的な価格競争力をつけること」(後藤社長)。このほかに、独自のポイント制導入などサービス面の強化、サイトのリニューアルなども計画し、「顧客の健康に役立つという原点に回帰し、サイトを改善するということに重点的に取り組んでいこうと考えている」(同)とする。
これまで、ロングテール戦略を基盤に事業を拡大させてきたケンコーコム。さらに新たな成長のドライバーとなる施策を早期に確立させ、健康関連商品ネット販売市場での存在感を示していく構えだ。
後藤社長に聞く、今後の成長戦略、
"ドライバー"商品を作る、海外商品調達昨日フル活用
ロングテール戦略で売り上げを拡大してきたケンコーコム。その戦略が転換期を迎えた今、更なる成長に向けどのような取り組みを進めていくのか、後藤玄利社長に話を聞いた。
これまで取り組んできたロングテール戦略が曲がり角にきているようだが。
「ロングテールで品揃えを増やしていくと、それに応じて売り上げも伸び、例えば1万品目の商品を2万品目すると、売り上げも倍になる。だが、ある程度の規模になると効率が落ちてしまう。10万品目の11万品目に増やそうとすると、実際には3、4万品目の商品を追加しなければならない。改廃やリニューアル等で2、3万の商品は落ちてしまうためだ。一方で、ロングテールの効果による売り上げは1.1倍にしかならない。当社でも、取扱商品数が7、8万品目の頃から、効率悪化の傾向が出ていた」
ロングテールの効率悪化に対し、どのような対応策を講じていこうと考えているのか。
「けん引役の商品を作るということだ。これは今期の一つのテーマでもある。これにより、テールの末端までの長さが同じでも、ヘッドからテールにかけて下る売り上げ曲線の角度をなだらかにする。そうイメージしてもらえればいい」
具体的な施策は。
「商品の競争力や優位性といったことを考えると国内調達だけで限界がある。このため、当社の強みでもあるグローバルな商品調達機能を活かし、海外のNB商品を扱っていこうと考えている。これにより、水であれば圧倒的に安い、あるいはケンコーコムでなければ購入できない商品など優位性を発揮できるものを打ち立てていく」
海外の商品調達体制はどのようになっているのか。
「海外商品調達の拠点としては米国とシンガポールに子会社がある。米国の子会社は、もともと時差を利用した受注業務を行っていたのだが、新たに商品調達機能を付加した」
海外調達で成果を出している商品は何かあるのか。
「4月26日から販売している『クリスタルガイザー』(64本セット)がある。米国子会社を通じ直輸入することで1本当たり32円という価格を実現したものだが、売れ行きは好調だ。このほかにも、シンガポールの子会社が運営する通販サイトを通じ、米国のサプリメントを販売することも計画している。扱うのはビタミンなどだが、海外のサプリメントは国内よりも低価格で、加工技術が高く品質もいい。これは、前期に掲げていた健康食品の構成比を上げていくという施策にもつながるものだ」
本サイトから仮想モールに顧客が流れる傾向があるようだが、収益性を考えると課題だ。何か対応策は。
「ベースは、商品の圧倒的な価格競争力をつけることだ。このほかにも独自ポイント制度の導入やサイトのリニューアルなどを計画している。要は、物販以外の情報提供なども含めて顧客の健康作りに貢献するという原点に回帰すること。今期は、コンテンツの強化・拡充、あるいは顧客の商品リクエストに対応するなどの形でサイトを改善していくことに重点的に取り組んでいこうと考えている」
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