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話題の新端末を使いこなせーーiPadの通販活用法あれこれ

1men.JPG 5月末の発売後、すぐに完売し、入手困難なほどの人気ぶりを見せる新型情報端末「iPad(アイパッド)」。直感的に操作できる使いやすさや画面が大きく見やすいことから、幅広い年代層からも利用が見込まれている。この新型端末を巡り、一部の通販実施企業では早くもビジネスに活用しようと様々な試みが始まっている。今後の普及次第では通販各社にとって対策が必須になるかも知れない「iPadの通販活用」の現状を見てみる。(詳細は本紙姉妹誌の「月刊ネット販売」の7月号の特集参照)

 通販企業の「iPad活用」として、代表的なのはiPadでの「デジタルカタログの配信」だ。中でもiPad発売後、すぐに対応したのが千趣会だ。同社では5月28日から、iPad向けの電子カタログ配信を始めている。次世代対応の研究の「ベルメゾン・ラボ」の中で、電子書籍技術を持つヤッパと組み「iPhone」「iPod touch」向けに電子カタログ配信を実施。この際、ダウンロード数が述べ数千件あり、「画面をタッチして商品を探せるデバイスの可能性を感じた」(デジタルメディア部・上辻大介氏)ことから展開に着手した。

 配信しているのは今年3月に創刊した男性向けファッションカタログ「メンズ暮らす服」。PC版のものをベースに使用。内容は千趣会側で逐次更新し、顧客がアプリケーションを一度ダウンロードすれば、次の起動時には最新の内容が表示される。

 基本的な機能はiPhone版とほぼ同じだが、大きな変更点は、注文機能を付加したこと。iPhone版は、注文ボタンを押すと表示される電話番号から注文する形だが、iPad版はカタログ画面からから「ベルメゾンネット」の商品注文画面に遷移する形で、通常のネット販売と同じ感覚で商品を購入できるようにした。
 また、「ベルメゾン・ラボ」で別途、テストを行っていた「特集ギャラリー」の技術を活用した検索機能も付加。一つの画面に10ページ程度を表示、画面のタッチにより、"パラパラ"とページをめくる感覚でカタログ画像を操作でき、より感覚的に目的のページを探せるようにしている。

 同社では「iPad」の表現力を評価しており、蓄積してきたカタログの知見を活かせるデバイスとして期待。月替わりで種類の異なる電子カタログの配信を計画するほか、将来的な構想として動画と絡めた展開も視野に入れている。
 iPadへのデジタルカタログ配信は千趣会以外にも、6月8日からフェリシモも着手(iPhoneにも対応)。同社が発行する主要カタログのうち、15種類が閲覧できる。今後、デジタルカタログをPC上ですでに展開中のカタログ通販企業の対応が進みそうだ。

iPadの利用用途として最も多いのは「電子書籍の閲覧」だろう。こうした用途を考え、ダウンロードされる書籍や雑誌経由から通販に誘導する動きも始まっている。

 楽天は5月28日から、iPad限定で、自社運営のオンライン書店「楽天ブックス」と仮想モール「楽天市場」を連携させたサービスを行っている。同日提供を開始した雑誌の無料閲覧アプリ「チラよみ」サービスの一環で、閲覧した雑誌に掲載されている商品を「楽天市場」で購入できるもの。サービスの立ち上がりもアプリのダウンロード数やサービス経由の売り上げなどは非公表だが、「(ダウンロード数は)予想よりいい結果」(楽天)と好調で、今後は購入可能な商品数を拡充する計画だ。

 「チラよみ」で閲覧できる一部の電子雑誌内の掲載商品をクリックすると、仮想モール「楽天市場」の検索結果ページに移動。ユーザーに好きな店舗を選択させ、商品を購入してもらう仕組みだ。購入対象商品数は1誌あたり1~10点で、現在は計98点の商品にリンクが貼られている。購入可能商品数は今後、順次拡充していく計画だ。

 使いやすさを重視し、「楽天市場」で購入できる商品は「チラよみ」時にひと目でわかるよう黄色く光らせるデザインを採用。また、アプリ内ブラウザでページが開く仕様にし、閲覧から購入までをスムーズに移動できるようにしている。

 「チラよみ」に参加する出版社は18社で、閲覧できる雑誌数は57誌で「GINGER」「グッズプレス」「おとなの週末」など9誌で掲載商品を購入できる。「楽天ブックス」で「チラよみ」した雑誌本体の購入も可能だ。同サービスは「販促・PRが目的」(楽天)で、手数料は徴収しない。今後、電子コンテンツの販売などを展開し収入につなげていく考え。

 化粧品ブランド、クリニーク ラボラトリーズの日本法人であるELGCでは5月28日、クリニークブランドをアピールする「デジタル雑誌」を発行した。著名人のインタビュー、男性向けにスキンケアの基礎知識、キャンペーン情報などを掲載。クリニークを知らない男性へのブランドのアピールが狙いだ。

 雑誌の名称は「Smile(スマイル)」。PR会社のビルコムが提供する企業のブランドアピールや製品紹介を行う雑誌を発行するサービス「iPadブランドマガジン」を活用した。

 雑誌では男性向けのスキンケア化粧品などを紹介。表紙にはサッカー日本代表の川崎フロンターレの中村憲剛選手を起用。同選手のほか、著名人のインタビューを掲載。合間にクリニークというブランド、スキンケアの必要性や基礎知識を紹介する記事を載せた。

 雑誌からはクリニークの通販サイトに誘導しているが、「半分程度は来訪」(クリニーク)。製品購入につながっているかに関しては「直接のコンバージョン率はまだ低いが、公開後の週末にメンズ化粧品の動きが良くなるなど、効果はありそうだ」(同)という。

 近年では有店舗小売事業者も通販を1つの販路と捉え、ネットを軸に強化している企業が多いが、「店舗は店舗」「通販は通販」と別々に考え、結果的に連携がとれずにいる企業もまた多いようだ。そうした中、iPadを利用して、ネット上にある「豊富な商品情報」や「分かりやすい見せ方」を使って、店頭での接客に活用。逆にiPadで店頭顧客をネット販売サイトに誘導するなど、ネット販売と実店舗の相互補完体制を上手に強化し始めた企業がある。ニューヨーカーだ。

 同社では埼玉県内の実店舗にiPad2台を導入し、通販サイトで使用している商品画像などのデータをiPadで表示、これまで店頭では見られなかった欠品商品や、実際の商品を並べたり試着しないと分からなかったコーディネートを、デジタルツールを活用することで簡単に素早く見られるようにした。

 一方、iPadで表示する各商品にはQRコードを付け、店舗にない商品とのコーディネートを気に入った顧客には通販サイトの利用を促したり、購入を決めきれない来店客のフォロー策として、後日、通販サイトで商品を確認できるようにしている。

 iPadのコンテンツは、画面を上下で半分に区切り、トップスとボトムスを画面上でコーディネートできる。試着をしなくても雰囲気が分かるほか、店舗で扱っていない商品で組み合わせることもできるため、顧客は選択肢が広がる。

 全商品に付けたQRコードは、通販サイトに貼り付けているものとは異なるため、iPadを利用した顧客が訪問した数を把握できるようにしている。

 ただ、現状では課題もある。店舗で販売開始したばかりの商品で、通販サイトにはアップされていない場合、通販サイトのデータを活用しているため、iPadでは見られない。こうした状況を改善するため、秋冬シーズンからは商品サンプルを先に撮影し、店頭と同時に通販サイトにアップすることでiPadでも表示できるようにする。iPadの店頭活用によって、通販サイトの利便性向上にもつながる取り組みだ。

 店舗導入による具体的な成果と検証はこれからだが、アパレル企業の持つリアル店舗と通販サイトを補完するツールとして注目されそうだ。

 今後の状況にもよるが、iPadは直感的な操作性と見やすい画面の大きさから、若者だけでなく、ある程度の年令層まで幅広く普及する可能性を秘める。もしかすると今後、iPad対策は通販実施企業にとって必須となる可能性もありそうだ。

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