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ベルーナ 復活へ5年越しの改革、「顧客視点」でサービス向上

011.jpgベルーナのフルフィルメント改革が成果を出し始めている。今年1月に基幹システムを刷新。注文から配送までの日数を短縮するなど、サービスレベルを大幅に向上した。上場後初の最終赤字からの復活を目指す同社だが、カタログ事業には回復の兆しがみえており、フルフィル改革も一役買っているようだ。実は、今回の改革は2005年にスタートした5年越しのプロジェクト。背景には、離反顧客の急増という危機的な状況があったという。


 ベルーナの幹部はあるデータを見て愕然(がくぜん)とした。「このままでは離反顧客数が新規と既存を足した顧客数を上回ってしまう」。

 同社の物流改革がスタートしたのは2005年のこと。きっかけは、同社から商品を買わなくなった顧客、つまり離反顧客が急増していたからだ。当時のベルーナは好業績を維持していたものの、牽引(けんいん)役は単品通販や金融関連。06年以降カタログ事業の収益性は年々悪化し、09年3月期の営業利益率は0.4%まで落ち込んでしまった。幹部が懸念したように、離反顧客増で新規獲得のための広告宣伝費が重くのしかかる形となったわけだ。

 情報システム本部IT戦略室の河野亮治課長は「他の総合通販に比べてサービスレベル劣っている点がとにかく多かった」と当時を振り返る。最大の問題点は注文から顧客に届くまでのまでの期間の長さ。ライバルが中・小物は2~5日、大物は1~3週間に届いていたのに対し、ベルーナの平均日数は14日。さらには受注時点では正確な配送予定日を告知できず、顧客が1回の電話で用件が完了できる割合(一次完了率)も管理されていないため、顧客は折り返し電話を強いられるケースが多かったという。さらには、その顧客対応も部署や担当者ごとにばらばらで一貫性がないという始末だった。

 そこで、全社を横断したフルフィルメント改革の一大プロジェクトが立ち上がった。まず「お客様の視点に立ち、理想のサービスレベルを考えた」(河野氏)。その上でフルフィルの業務改革を進めるための11のテーマを定めたという。受注に関しては「正確な配送日時の告知」、問い合わせ対応では「顧客とのコンタクト履歴を一元管理することで一貫性のある対応の実現」などというものだ。

 06年から最初の半年間で問題点をあぶり出し改革のテーマを設定。どんなプロジェクトを立ち上げるかという計画を立てた後に、実装する機能を定める要件定義を行った。新基幹システムの構築は日本ユニシスが担当。ベルーナのコールセンター受注業務、顧客サービスを中心とした機能について、ユニシスの「DM/FF3」を一部カスタマイズして適用した。

 基幹システムの刷新と並行して、物流システム、商品管理データベース、IP電話、情報集計関連、会計システムなどの再構築プロジェクトも推進。基幹システムの開発とテスト、導入を07年下期から約2年半かけて行い、今年1月には新基幹システムが可動する運びとなったわけだ。

 実は新システムの導入にあたって、ユニシスからは「成功する可能性は10%未満」と言われていたという。これは、あまりにもプロジェクトが大きかったためだ。ここで言う「失敗」とはスケジュール遅延やコストオーバー、想定した品質に達しないなどだが、こうした問題は起きなかったという。なぜ成功することができたのか。

 河野氏は「安野雄一朗経営企画室長や各部署の本部長という経営層が積極的に関与したことが大きい」と話す。要件定義の最後には、全取締役が2日間かかりきりとなり、すべての要件を承認したのだという。「変革に対して現場から反発が出ることもあるが、責任者が決定した事案をうまく落としこむことができた」(河野氏)。さらには、毎週金曜日の午前中には部課長級以上全員が出席する定例会議を開き、進捗状況やリスク、問題点を共有することで、齟齬(そご)が起きなかったのも大きかったようだ。今回のプロジェクトの成功を機に、組織に横串を通したプロジェクトや委員会が増えているのも成果といえるだろう。

 11の改革テーマのうち「7―8割は達成することができた」(同)。今後は、まずOCR(光学式文字読み取り装置)を導入してはがき処理を効率化する。最近は読み取り精度が向上しているため、2―3割は処理時間を短縮可能な見込みで、はがきが届いた当日に出荷の指示ができるようになりそうだという。また、返品に関しても、これまでは返品の確定、処理までの時間が長くかかっていたものを、配送までのリードタイムと同じく短縮していく。

配送日数を大幅に短縮、アクティブ会員増へ

012.jpgのサムネール画像では、サービスレベルは実際にどう変わったのだろうか。

 まず、配送までのリードタイムは平均14日が3―4日にまで短くなった。実は、すでに昨年から効果は出始めており、インターネットのくちコミサイトでも、以前は「いつ届くか分からない」という悪い評価が多かったが、最近は「(配送まで)早くなって驚いた」という書き込みが増えているようだ。さらに、1月からは配送予定日を注文時に告知することが可能になっている。

 河野氏は「受注処理を完了した当日に、運送会社に商品を渡せるシステムを作ったのと同時に、スタッフもすぐに動けるようフローを変えた」と話す。従来は処理完了から実際に集荷されるまで数日かかっていたものが、当日に出荷できるようになったわけだ。

 さらに、物流に関わるスタッフの意識も変わった。「決められた通りに出荷すればいいという考え方だったが、『リードタイムを短くして、決められた日に届けることが、顧客にとっては非常に重要』という認識を全員が持つようになった」(河野氏)。物流に指示を出す側の情報システム部門に関しても、「いかに早く在庫引当処理をするか」を強く意識するようになったという。「すべての人間の意識が変わり、自分のできることを実行した結果が、配送日数の大幅な短縮につながった」(同)。

 運送会社の活用法も変わった。これまではコスト面で最適な会社を使っていたため、地場の運送会社など10社以上を利用していた。しかし、注文時に配送日時を告知するためには、運送会社にも一定のサービスレベルのクリアが求められる。現在はメーンの運送会社を3社まで絞った。

 もちろん、一連の改革は顧客からも好評だ。これまでは配送まで2週間が当たり前だっただけに、数日で届くと聞いて驚く顧客も多いという。さらには、追加注文の増加やキャンセル率の低下といった効果も出ている。09年度のアクティブ会員数は減少傾向に歯止めがかかり、増加に転じたようだ。カタログの発行部数は減らしているだけに、改革の成果が出始めているといえる。

コールセンターの品質統一、業務の電子化も進む

 コールセンターの体制も大きく変わった。これまでは、顧客の居住する都道府県で各拠点に電話を振り分けており、ルールもまちまちだった。拠点によってかかってくる電話の本数とサービスレベルに差があったのだ。

 今回の改革では「ベルーナのコールセンターとして品質を統一する必要があると考えた」(河野氏)。まず組織を変更し、他部署や取引会社などへの問い合わせが必要な業務を集約する「統括業務班」を設けた。採用や教育の基準などルールも統一、顧客からの電話は各拠点の負荷に応じて着信が分散されるようにした。

 また、これまでは顧客とのコンタクト履歴が存在しなかっただけではなく、問い合わせがあった場合は紙に住所氏名、質問内容を記して担当者に渡すという形式だった。今回はこれを電子化。顧客とのやりとりを残すようにしたほか、問い合わせ内容をデータとして入力することで、担当者もすぐに回答できるだけではなく、顧客から再度の問い合わせがあった場合でも、別のスタッフが内容を参照して答えられる仕組みになったという。

 現在は総合通販と、化粧品や健康食品など単品通販のコールセンターは分かれているが、将来的には両者を統合することでコスト削減につなげたい考えだ。

 5年越しのフルフィルメント改革を実現したベルーナ。ただ、改革が始まった当時にベンチマークしていたのは、あくまで05年の総合通販。競合のレベルアップもさることながら、5年前に比べると、ベルーナにとってもネット販売の重要性は格段に増している。

 もちろん、アマゾンのほか楽天市場などの仮想モール、衣料品ネット販売企業もライバルだ。こうした会社が商品の即日配送や配送料の引き下げなど、大胆なサービスを次々に打ち出すことで、消費者の求めるフルフィルメント関連のサービスレベルが大きく向上しているのが現状だ。
 「アマゾンなどのサービスも視野に入れながら、改革を続けなければいけない」(同)。今後はネット時代に合わせたサービスをいかに素早く提供できるかが問われている。


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