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ディノス〝次の成長〟に挑む 衣料品で〝壁越え〟、アパレルの「独り立ち」に本腰へ

012.jpg 長引く不況の中、老舗通販企業のディノスが堅調に業績を伸ばしている。催事などの不採算部門の戦略的な縮小で売上高は減収だが、利益面はむしろ好調に推移。今期第3四半期(4―12月)決算では純利益が前年同期比135・8%増の5億9,200万円で推移しており、期末の純利益は増益を確保しそう。景気後退局面で他社が苦戦する中、同社の増益を支える秘密。1つはカタログによっては前年比4割増で売上高が推移し続ける「アパレル」の躍進にあるようだ。そして、この「アパレル」こそが今後の同社の成長戦略のカギを握る。ディノスの現状と今後の成長戦略について見ていく。
「ダーマ」は3~4割増に

 「お世辞抜きにこれからはディノスさんですよ」。ディノスと取引のある某衣料品製造メーカーの担当者はこう話す。昨年から今年にかけてディノスのファッション系カタログの売り上げが好調に推移している。主力の40代女性向けカタログ「カーラ」、50代女性向け「ダーマ」を筆頭に「ルール」など若い世代のカタログの売上高も昨年比で2桁成長と順調のよう。特に先の「ダーマ」は「昨年の秋冬からずっと昨年比3―4割増で来ている」(石川社長)とアパレル不況と言われる今、むしろ衣料品の売り上げを伸ばしているディノス。

 好調の理由は時勢に合った価格帯やトレンドを取り入れた商品力などだろうが、それはこれまでも実施してきていること。また、カタログの配布部数も昨年と大きな変化はない。それではその「アパレル」の好調さはどこから来るのだろうか。

不況がむしろ「追い風」に

 アパレル好調の秘密の1つの答えについて冒頭のメーカー担当者はこっそりと解説する。「不況がむしろ、ディノスさんには追い風となっているのではないか」。メーカーと消費者の間には「ディノス」しかいないということがマージン率を下げており、結果として他の販路に比べて、顧客へは「お買い得な商品」の提供ができている。

 不況の折、消費者は支出には敏感となっている。同じ値段ならばブランドやイメージではなく「より良いモノを」という嗜好がディノスのアパレル売り上げを下支えている模様だ。

 「質の良い商品」がベースとなりつつ、「ユニクロ」に代表される成長著しいファストファッションと言われている商品群と競合しないこと。また、不況の中でも好調な専門店とも争っているわけではないという「オリジナル性はあるがターゲット的には面白いところで戦えている」(石川社長)こともアパレルの好調さの理由だろう。

カギ握る衣料品の「独り立ち」

 「今期はいかにファッションを独り立ちさせ、利益に貢献させ、ディノスの今後の柱に育てていくかが課題」と石川社長は言う。確かにアパレルの売上高は非常に順調だと言える。ただし、こと利益への貢献度に関しては現状、不満が残る結果のようだ。無論、売上高拡大に伴って一定の粗利は出ているが最終利益ベースではあまり利益は出ていないようだ。

 これには同社特有のこれまでの「アパレル」に対する位置付けの問題がある。これまでディノスの主力商材はあくまでリビング系商材、つまり「家具」だ。「今まではリビングが走っていて、その後ろをファッションがくっついていた構図。つまり、ファッションの役割は『ショーウインドウ』。多少、利益を減らしてもお客様に必ず受けるもの。納得して購入頂ける値段として、お客様にアプローチ、その結果、『家具』も購入して貰える」(石川社長)という形だった。

 家具の売り上げも順調だったこれまでであれば、その形も機能的だ。ただ、不況の折、家具の売り上げが落ち込んでいる現状では、アパレルは「ショーウインドウ」的な役割を脱し、「独り立ち」する必要がある。

 これまでのディノスのアパレル事業では、在庫リスクの問題から発注数量に対して慎重な対応をしてきたようだ。しかしながら、アパレルの「独り立ち」、「利益への貢献」を達成するためには攻める姿勢が必要となってくる。

 すでに「ファッション部門の改革」は進み始めているようだ。無論、いかに利益貢献を重視したとしても、強みである商品の質を落とすわけには行かない。そこで着手したのは「大きな売り上げを常に考えること」だ。

 「独り立ちするのだからその分、リスクをとれと。失敗もあろうが、その代わりきちんと稼ぐ時には思いっきり稼ぐ大きな商売を考えろと現場には言っている」(石川社長)。これによりこれまで発注不足から取りこぼしていた販売機会を確実に獲得できるようになる。

 「今まで言われたことのないことを現場にはお願いしており、戸惑いもあると思うが、この方針に沿って、今、現場は考え始めている。売り上げを最大化するための効率的な発注形態の変更や人員の拡充などを今、進めており、この秋冬には様々なことが変わり始め、ファッションが利益セクションになってくるはずだ」と石川社長は自信を覗かせる。

ネット連動で家具テコ入れ

011.jpgのサムネール画像 ファッション部門の改革を進める一方で、苦戦が続くリビング系、つまり「家具」のテコ入れにも今期は本格的に着手。今年4月には新たなリビング系カタログ「ディノスウィズ」(=写真)を創刊。同カタログは通販サイトとの連動を強化した工夫が随所に施されている。

 例えば、販売する調理器具を使って調理した朝ごはんのレシピを誌面では「和食」で紹介。誌面の下には「webへGO!」というURLが記されたマークがあり、当該サイトを見に行くと「洋食」のレシピを紹介。

 また、家具や収納用品などについても、誌面で紹介した商品とは異なる別の色やサイズの商品などネット限定商品を連動する通販サイト上で紹介していたり、誌面紹介商品をネットでは動画を使って見せたりする試みを行なっている。

 「ディノスウィズはこれまでのカタログの改良版。この試みが上手くいけば、他のカタログにも同じ手法を踏襲していく。実際にネット受注比率が高まるなど一定の成果も見えつつある」(石川社長)。

家具の新サービスも"実験"

 また、東京在住の顧客のみに配布している「東京版」のカタログでは商品の配送時間を1―3日前後(通常は4―5日程度)と短縮。また、「家具の無料引き取り」など家具関連の新サービスを展開中。現状、東京のみの実験的な試みのようだが、エリアの拡大も含め、様々な付加価値サービスの強化で家具のテコ入れにも挑む。

 「これまでのビジネス手法では、昨年までの成果が限界だろう。当社はこれまでも何度かこういうタイミングでビジネスを改革してきた。今年はファッション系の『独り立ち』と『家具のテコ入れ』で『現状の壁』を乗り越え、再度、成長ラインに乗っていきたい」と石川社長は話す。

 老舗の通販企業であるディノスの「壁超え」が今、始まる。

石川社長に聞く、これからの成長戦略とは?
「アパレルが順調」、セシールとの連携も徐々に

 
013.jpgのサムネール画像ファッションアパレルを中心に堅調に業績を伸ばすディノス。同社の石川順一社長に現状とこれからの成長戦略、ともに共同持株会社傘下で共同歩調をとっていくセシールとの取り組みなどの進捗状況について聞いた。(聞き手は本紙編集長・鹿野利幸)

――第3四半期累計の業績は減収増益で推移している。
 「減収は家具の苦戦もあるが、落ち込みの半分は催事など不利益部門を意識的に縮小させている結果で当初からある程度織り込み済みだ。売り上げを落とした分はきちんと利益に貢献し始めていると思う」

――特にアパレルが好調のようだ。
 「そうだ。ファッションカタログは平均でも各号前年比で1割増だ。『ダーマ』などは4割増になっている。ファストファッションや専門店の顧客層とは異なるターゲットの顧客をきちんと掴めている結果ではないかと思う。今後はファッション部門をきちんと『ディノスの柱』とすべく、様々な改革を行い、利益貢献度を高めていく(別記事参照)」

――一方、主力の「家具」が苦戦しているが。
 「今年4月に『ディノスウィズ』というリビング系の新カタログを創刊した。同カタログはネット連動を非常に強化しており、カタログと連動したコンテンツやネット限定商品などを拡充させている。このあたりの試みが上手くいけば、他のリビング系カタログにも踏襲させたい。これが一つの今後の方向性になりそうだ」

 「また、家具が苦戦とは言え、『ハウススタイリング』や『ガーデンスタイリング』などコンセプトを明確にしたカタログの強いところをさらに強くしていこうと考えている。具体的にはより趣味性の強い商品やデザイン性の高い『とんがった商品』をどんどん投入したい。ファッション感度が高く、『青山』あたりの専門店でこだわりの家具を購入するような層に購入いただけるようなカタログにしていきたいと思っている」

――先日、セシールと共同持持株会社「フジ・ダイレクト・マーケティング」を新設し、両社とも傘下に入った。今年以降、様々な試みを実施されていくと思うが、現状の進捗状況は。
 「セシールさんとは今、色々な話をさせてもらっている。まずはそれぞれのブランドを強くしていき、裏側でつながっていこうというのが基本だ。裏側というのはコスト削減などの部分だ。話し合いを始めたが、まだまだ結論が出ていない部分が多いので現状では何とも言えない」

――すでに何か両社の連携はスタートしているのか。
 「徐々に始めている。今年3月には両社の互いのお客様に商品同梱でチラシを配布した。まずまずの結果も出ている。このほか、セシールさんの化粧品を当社のカタログで一部販売するなどの試みも始めている。いずれにせよ、お客様ありきのことなので、性急には事は運べない。今後、じわりじわりと相乗効果が出てくると思う」

――両社で共同のカタログ創刊などは。
 「それはいいですね(笑)。面白い試みかも知れない。色んな案件があり、それぞれ慎重に進めていきたいと思っている」









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