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女性客パートナーの〝アラフォー夫〟を狙え、千趣会「メンズ暮らす服」の戦略

011.jpg 千趣会は、メンズ市場への本格的な参入に乗り出した。この一環として、3月に男性カジュアルのカタログ「メンズ暮らす服」を創刊。コアとなる30―40代女性顧客のパートナーである40代前後の"アラフォー"の夫をターゲットに設定する。これまで女性を中心とした事業展開を行ってきた関係で、夫の服を妻の女性顧客が代理購入するケースが多かったが、同カタログを通じ、夫自らが商品を選び注文をするという自己購入の流れを作り出していく考えだ。今後、同社がどのような手法でメンズ市場での地位確立を目指すのか、その戦略を探る。
夫自身が商品購入する流れ作る

 「メンズ暮らす服」では、既存の女性顧客の向こう側にいるパートナーの男性、つまり40代前後の夫をターゲットにする。千趣会がメンズ市場に力を入れる背景には、一部の百貨店等でメンズの動きがよく、男性が自分自身で服を購入するケースが多いという判断があるが、さらに大きな要因として「私たちの暮らす服」が年間売上高300億円規模に達し、事業として安定してきたことがある。

 同カタログは、30代半ばから40代で子供を持つ女性を主要顧客とし、自分や子供の服のほか、男性向けの商品もついで買いできるよう掲載している。このため、妻である女性顧客が夫の服を代理購入するケースが多かったが、「メンズ暮らす服」の展開で夫自身がカタログで選んだ商品を注文するという自己購入の流れを作り、メンズ市場での展開拡大を図っていくのが基本路線。男性顧客に自ら商品を購入してもらう形のアプローチを大々的に行うのは、同社としても「初の試み」(峰岡繁充ファッション事業本部長)だ。

素材・ディテールなどで差別化

 「メンズ暮らす服」では、カジュアルに特化した形で商品を展開する。これはアラフォー男性が着たいと思うカジュアル衣料を買える場が少ないとの見方によるものだ。

 現状、男性カジュアル衣料ではユニクロが圧倒的に強いが、同社ではこだわりを持つ30―40代顧客の場合、ユニクロの商品だけでは満足できないニーズがあると見ており、男性のスーツ着用率が年々低下傾向にあるといった傾向からも、この部分で市場を開拓できる余地がある判断。休日にも着られるカジュアル衣料に特化することで、より多くの男性にアプローチしていくことにした。

 「メンズ暮らす服」の創刊号では約160型の商品を掲載。衣料品ではオリジナル商品、靴などのグッズについてはブランド商品を中心に展開、全体の構成比としてはオリジナル商品7割、ブランド商品3割としている。カットソーやシャツなど衣料品の中心価格帯は1,900―4,900円。価格の面ではユニクロに分があるが、素材やディテールのこだわり等で値ごろ感を持たせていく考えだ。

ベーシック商品の組合わせ提案

 男性の自己購入を狙った本格的なカタログの展開は、今回の「メンズ暮らす服」が初の試み。このため、従来の女性向けカタログとは異なる仕掛けも盛り込んでいる。

 そのひとつは「ページ数に比べてコピーが多くなっている」(ファッション事業本部ライフファッション開発部商品開発チーム・酒井一氏)点。これは、男性顧客が商品に関する情報を十分に得た上で購入を判断する傾向が強いことから、ブランドや素材の説明などを拡充し、"読む"要素を強めたもので、このほかに、無難すぎないコーディネイトに留意するなど「男性から見てかっこいいと思うような誌面にした」(同)という。

 全体的には、単品ではなくコーディネイト重視のカタログ誌面とし、「ベーシックな商品群の組み合わせ方を提案する」(峰岡ファッション事業本部長)ことで、購買意欲の喚起を図る考えだ。

カタログ配布で新たな手法導入

 「メンズ暮らす服」の創刊号は、合計で96万部の発行を予定している。すでに3月1日に「私たちの暮らす服」で男性向け商品の購入実績がある女性顧客向けに10万部を先行配布しているが、配布手法の部分でも新たな試みに着手した。

 千趣会単体で約1,200万人の登録顧客を擁する(休眠含む)が、このうち男性の登録顧客数は約60万人(同)でおよそ5%程度に過ぎない。今後、妻の代理購入から夫自身による自己購入を促進し、男性顧客の拡大を進めることになるが、男性顧客の開拓策として同社が検討しているのは、個人以外のルートへのアプローチ。具体的には、男性従業員が多いと見られる事業所へのカタログ配布だ。

 この部分については、今年1月1日付で行った組織変更でマーケティング本部内に営業部を配置するなど既に体制は整っており、この4月から本格的な展開を始める。既に職域の頒布会等で事業者とのパイプはあるが、全くの新規事業者にも「飛び込みで営業をする」(峯岡ファッション事業本部長)としており、事業者向けに3万部のカタログを配布する計画だ。

妻と子の後押しできっかけ作り

 「メンズ暮らす服」の展開では、カタログ等での商品訴求だけではなく、男性が自身で商品を購入したいと思わせるようなきっかけ作りが必要になるが、これまでの代理購入の流れもあり、妻の後押しがカギと言える。

 この部分では、夫婦2人でカタログを見て商品を選ぶというアプローチが考えられるが、さらに千趣会では「暮らす服」店舗と連携した取り組みを開始。3月25日、イオンモール大和郡山に11店目の店舗を開設したのを機に、商業施設内に出店する店舗で男性向け衣料の商品構成比を従来の約2割から4割程度に引き上げるといった試みを行っている。

 これは、夫婦が実際の店舗で夫が着る服を選ぶというシーンを想定したものだが、さらに「メンズ暮らす服」創刊記念企画として、子供目線で父親のファッションを改造するという主旨のファッションショーを4月6日に大阪で開催。家族で夫(父親)のファッションへの興味付け図る戦略だ。

男性自己購入の受注はまだ5%

 3月1日に先行配布したカタログの受注状況は、1カ月弱が経過した段階での受注金額が約7,700万円で、平均購入単価は8,789円。男女別でみると、女性による代理購入の受注単価が8,717円なのに対し、男性の自己購入による受注単価が9,078円となっている。創刊号では売上高6億円を計画するが、現段階では「ほぼ計画通り」(峰岡ファッション事業本部長)という見方だ。

 半面、未だに女性の代理購入による受注が圧倒的に多く、男性自身の受注件数の構成比は5.7%という状況で、アラフォー夫の購買行動を変えるには、まだ時間がかかりそうだが、家族の後押しなどアラフォー夫の自己購入を促進する仕掛けを導入し、「メンズ暮らす服」の展開拡大を図っていく構えだ。

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