〝優秀な人材〟の獲得策は? 選考時に発想力、表現力を見極める
本紙が主要な通販実施企業を対象に調査を行ない、有効回答を得られた通販企業各社の今春の新卒採用状況は別表の通り。業績の低迷に伴う経費削減や即戦力確保の観点から経験者の採用に流れている傾向があり、採用者数ベースでは例年よりも抑えている企業が多い。
全体のトレンドとして採用者数は減少傾向であることは間違いないが、中には若干ではあるが採用者数を増やしている企業も散見される。また、これだけの不 況であれば、少なくとも今年は新卒採用を見送る企業が多くてもよさそうなものだが、採用者数を絞りつつも一定数の新卒採用を継続している企業は多い。これ は企業側にしてみると就職氷河期の今、平時では採用しにくい「優秀な人材」を採用しやすい「チャンス」であることも無縁ではないようだ。
実際、新卒採用者数を前年度比24人増の29人と大幅に増やしたベルーナでは「採用予定人数は昨年も今年も20人だが、今年は採用基 準に合致する人材が結果的に多かった」。新卒採用者数が7人と前年よりも2人増えたケンコーコムでも「良い人材に恵まれたため」としている。
「次代を担う精鋭」を獲得しやすい企業側有利の現状に乗って、新卒採用を積極化させている企業も多い。例えば、OLMでは新卒採用者数は前年並みの10 人だったが、従来、本社のある東海地区の私立大学中心で行なってきた採用を、関東や関西を含めた活動に拡大。また、これまでアプローチしていなかった国公 立大学などでの説明会の実施にも踏み切っている。
前年度よりも2人増の八人の新卒採用を行なったジュピターショップチャンネル (JSC)では新卒採用者数を増やした目的について「良い人材を確保し、企業の成長につなげるため」と回答。大卒は昨年度並みの20人、高卒は前年度比 2.5倍の26人を採用した山田養蜂場では「各部門の体制強化」としている。ほかにもゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)では結果的に昨年よりも1 人減少の4人の新卒採用だったが「事業拡大と人員補充のため、昨年並みの採用を維持した」としている。
前述した通り、採用する企業側 にとっては有利な今春の就職戦線。ただ、弊害もあるようだ。企業の予定採用数よりも、就職希望の学生の数が上回っている現状から、膨大に寄せられる応募者 の中から、少数の「優秀な人材」を見つけ出す作業は例年にもまして困難な状況となっているためだ。そのため、各社は優秀な人材を効率的に確保すべく、一般 的な採用試験だけではなく、「様々な仕掛け」で即戦力となり得る可能性を秘めた人材の発掘を行なっている。
まず優れた人材を効率的に採用するには、採用の前段階であるエントリー段階で「いかに意欲や可能性を持った学生に申し込んでもらうか」が重要となる。
セシールでは「選考と関係なく会社をより知ってもらうために、先輩社員との懇談の機会を設けている」。同じくディノスでも「OB訪問の積極的な受け入れに より意欲の高い人材を逃すことなく選考に進んでもらう」試みを実施。ジャパネットたかたでは説明会段階で「インターネット会社説明会」を実施。ネットで会 社の様子を生放送で紹介しながら、学生からの質問にリアルタイムで受けるというテレビスタジオを持つ同社ならではのユニークな試みを実施している。
次にそうして絞った学生から可能性を秘めた人材を見つけ出すわけだが、例えば、OLMは人事部以外の管理職も面接に参加。選考基準をすり合わせながら、多 様な人材が採用できるように面接内容の改善を図っているようだ。千趣会では選考時に企画力を図るアイデアテストを3回実施し、クリエイティブ系の人材を獲 得する試みを展開中。また、JSCでは学生の発想力などを知る目的から、学生の個性が溢れるようなテーマで課題を与え、面接でその内容を掘り下げる試みを 実施しているようだ。
ジャパネットたかたでも、最終選考段階で表現テストを実施。「内容を問わず、自分の一番得意な方法」で自分を表現 させるもので、「当社の商品企画をプレゼンした方や英語で詩の朗読をした方、チェロやフルートなど楽器の演奏をされる方など様々」(同社)で、通販企業の 一員として必要な要素の1つである「表現力」の有無を判断しているようだ。
〝優秀な人材〟の育成策は? 〝現場〟でみがき、〝即戦力強化〟へ
平時では得にくい発想力や行動力を持った「優秀な人材」を獲得した後、当該企業が求める「次代を担う精鋭」に育て上げる「社員教育」についても各社、力を入れているようだ。
新卒採用者の研修期間は企業によってまちまち。例えばベルーナのように「最長一年」という企業もあるが、平均的には1―2カ月間。その期間に「ビジネスマ ナーやマーケティング、コールセンターや物流センターなどの実地研修、PC研修、先輩社員とのジョイント研修」(千趣会)など業務全般に関する基本知識を 教育する。
基本的な新卒者の教育は各社、注力するポイントは様々だが基本的には業務全般に関わらせることで、通販というビジネスの全体 の把握を目的としている。ただ、昨今の厳しい経済状況を考えると、「戦力」となるまで悠長に教育を施していられない事情もある。そこで各社は新卒採用者を 戦力化させるための試みを実施している。
多いのは「現場の実地経験」だ。例えば、OLMではコールセンターでの受注を研修に盛り込んで いる。「現場での厳しい受注業務の中で、お客様とのやりとりを通じて、言葉づかいやビジネスマナーを体で覚えるとともに、当社がどうやって収益をあげてい るのかをしっかりと理解させる」。また、オットージャパンでもコールセンターや実店舗での販売研修で「気品的な社会人としてのマナー、心構えを身につけさ せるとともに、配属前のお客様の声を聞いたり、購買者と直接、触れ合うことで、物流システムや顧客視点を早期から身につけてもらう」。JSCでもOJTな どの研修を通じ「自ら考え行動し、成果を出せる人材になってもらうため研修期間中の体験で学んでもらう」としている。
また、早期から主 体的にビジネスについて「考えさせる」ことで戦力化する試みもあるようだ。山田養蜂場では「社長帯同、経営者・部門責任者へのプレゼンテーション」を積極 的に新卒採用者に行なわせる。GDOでは「研修の最後にグループワークで自社における新規ビジネスプランを考え、経営陣の前で発表してもらう」など。
このほか、現場ですぐに役立つ技術の取得を支援することで戦力化を目指す動きもあるようだ。
ジャパネットたかたでは研修時に1年間をかけて、教育していくが、その中で力を入れている1つが専門的な業務に関する能力を育成する「テクニカルスキル研 修」。例えば、「インターネット部門であればフラッシュ研修、ペーパーメディア制作部門であればデザイン研修」などだ。具体的に専門技術を学ぶので即戦力 の人材育成に直結した施策といえそうだ。このほか、ヤマサキでは入社後、研修とは別に月1回の勉強会に新卒採用者も参加させ、商品知識を身につけさせるな どの試みを行なっているという。
◇
景気の好転が見えない中、来年度の各社の新卒者採用予定数も多くはなさそう。ただ、今年と同様に水面下では「優秀な人材」の獲得を巡る通販各社の攻防戦はより激化していきそうだ。
全体のトレンドとして採用者数は減少傾向であることは間違いないが、中には若干ではあるが採用者数を増やしている企業も散見される。また、これだけの不 況であれば、少なくとも今年は新卒採用を見送る企業が多くてもよさそうなものだが、採用者数を絞りつつも一定数の新卒採用を継続している企業は多い。これ は企業側にしてみると就職氷河期の今、平時では採用しにくい「優秀な人材」を採用しやすい「チャンス」であることも無縁ではないようだ。
実際、新卒採用者数を前年度比24人増の29人と大幅に増やしたベルーナでは「採用予定人数は昨年も今年も20人だが、今年は採用基 準に合致する人材が結果的に多かった」。新卒採用者数が7人と前年よりも2人増えたケンコーコムでも「良い人材に恵まれたため」としている。
「次代を担う精鋭」を獲得しやすい企業側有利の現状に乗って、新卒採用を積極化させている企業も多い。例えば、OLMでは新卒採用者数は前年並みの10 人だったが、従来、本社のある東海地区の私立大学中心で行なってきた採用を、関東や関西を含めた活動に拡大。また、これまでアプローチしていなかった国公 立大学などでの説明会の実施にも踏み切っている。
前年度よりも2人増の八人の新卒採用を行なったジュピターショップチャンネル (JSC)では新卒採用者数を増やした目的について「良い人材を確保し、企業の成長につなげるため」と回答。大卒は昨年度並みの20人、高卒は前年度比 2.5倍の26人を採用した山田養蜂場では「各部門の体制強化」としている。ほかにもゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)では結果的に昨年よりも1 人減少の4人の新卒採用だったが「事業拡大と人員補充のため、昨年並みの採用を維持した」としている。
前述した通り、採用する企業側 にとっては有利な今春の就職戦線。ただ、弊害もあるようだ。企業の予定採用数よりも、就職希望の学生の数が上回っている現状から、膨大に寄せられる応募者 の中から、少数の「優秀な人材」を見つけ出す作業は例年にもまして困難な状況となっているためだ。そのため、各社は優秀な人材を効率的に確保すべく、一般 的な採用試験だけではなく、「様々な仕掛け」で即戦力となり得る可能性を秘めた人材の発掘を行なっている。
セシールでは「選考と関係なく会社をより知ってもらうために、先輩社員との懇談の機会を設けている」。同じくディノスでも「OB訪問の積極的な受け入れに より意欲の高い人材を逃すことなく選考に進んでもらう」試みを実施。ジャパネットたかたでは説明会段階で「インターネット会社説明会」を実施。ネットで会 社の様子を生放送で紹介しながら、学生からの質問にリアルタイムで受けるというテレビスタジオを持つ同社ならではのユニークな試みを実施している。
次にそうして絞った学生から可能性を秘めた人材を見つけ出すわけだが、例えば、OLMは人事部以外の管理職も面接に参加。選考基準をすり合わせながら、多 様な人材が採用できるように面接内容の改善を図っているようだ。千趣会では選考時に企画力を図るアイデアテストを3回実施し、クリエイティブ系の人材を獲 得する試みを展開中。また、JSCでは学生の発想力などを知る目的から、学生の個性が溢れるようなテーマで課題を与え、面接でその内容を掘り下げる試みを 実施しているようだ。
ジャパネットたかたでも、最終選考段階で表現テストを実施。「内容を問わず、自分の一番得意な方法」で自分を表現 させるもので、「当社の商品企画をプレゼンした方や英語で詩の朗読をした方、チェロやフルートなど楽器の演奏をされる方など様々」(同社)で、通販企業の 一員として必要な要素の1つである「表現力」の有無を判断しているようだ。
〝優秀な人材〟の育成策は? 〝現場〟でみがき、〝即戦力強化〟へ
新卒採用者の研修期間は企業によってまちまち。例えばベルーナのように「最長一年」という企業もあるが、平均的には1―2カ月間。その期間に「ビジネスマ ナーやマーケティング、コールセンターや物流センターなどの実地研修、PC研修、先輩社員とのジョイント研修」(千趣会)など業務全般に関する基本知識を 教育する。
基本的な新卒者の教育は各社、注力するポイントは様々だが基本的には業務全般に関わらせることで、通販というビジネスの全体 の把握を目的としている。ただ、昨今の厳しい経済状況を考えると、「戦力」となるまで悠長に教育を施していられない事情もある。そこで各社は新卒採用者を 戦力化させるための試みを実施している。
多いのは「現場の実地経験」だ。例えば、OLMではコールセンターでの受注を研修に盛り込んで いる。「現場での厳しい受注業務の中で、お客様とのやりとりを通じて、言葉づかいやビジネスマナーを体で覚えるとともに、当社がどうやって収益をあげてい るのかをしっかりと理解させる」。また、オットージャパンでもコールセンターや実店舗での販売研修で「気品的な社会人としてのマナー、心構えを身につけさ せるとともに、配属前のお客様の声を聞いたり、購買者と直接、触れ合うことで、物流システムや顧客視点を早期から身につけてもらう」。JSCでもOJTな どの研修を通じ「自ら考え行動し、成果を出せる人材になってもらうため研修期間中の体験で学んでもらう」としている。
また、早期から主 体的にビジネスについて「考えさせる」ことで戦力化する試みもあるようだ。山田養蜂場では「社長帯同、経営者・部門責任者へのプレゼンテーション」を積極 的に新卒採用者に行なわせる。GDOでは「研修の最後にグループワークで自社における新規ビジネスプランを考え、経営陣の前で発表してもらう」など。
このほか、現場ですぐに役立つ技術の取得を支援することで戦力化を目指す動きもあるようだ。
ジャパネットたかたでは研修時に1年間をかけて、教育していくが、その中で力を入れている1つが専門的な業務に関する能力を育成する「テクニカルスキル研 修」。例えば、「インターネット部門であればフラッシュ研修、ペーパーメディア制作部門であればデザイン研修」などだ。具体的に専門技術を学ぶので即戦力 の人材育成に直結した施策といえそうだ。このほか、ヤマサキでは入社後、研修とは別に月1回の勉強会に新卒採用者も参加させ、商品知識を身につけさせるな どの試みを行なっているという。
◇
景気の好転が見えない中、来年度の各社の新卒者採用予定数も多くはなさそう。ただ、今年と同様に水面下では「優秀な人材」の獲得を巡る通販各社の攻防戦はより激化していきそうだ。
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