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通販各社のターゲット拡大の一手、有望な″新しい層"を開拓せよ 興味ひく切り口で訴求、ファストファッションや食品に勝機

12.jpg通販企業にはそれぞれ得意とするターゲット層がある。ティーン層、主婦層などだ。こうした得意とするコア層の深堀り施策も重要だが、一方で考えねばならないのは新たな売上の柱となり得るコア層とは別の「新しい顧客層」の開拓だ。各社の新規層開拓の取り組みについて見ていく。


"男性"をいかに取込むか

 通販各社による「新しい顧客層」の開拓で目立つのは「男性」の取り込みだ。男性は総じて通販マインドが低いせいか、積極的に男性向けの通販を展開する企業は多くはなかった。ただ、男性にも一定の通販ニーズはあり、商材や攻め方を工夫すれば、十分に顧客化でき、有望な層であることから、ここにきて男性の開拓を進める通販企業も増えつつある。  

 千趣会では40代前後の男性顧客開拓に本腰を入れ始めた。この一環として3月1日に「men〓s Kurasufuku(メンズ暮らす服)」を創刊。「アラフォーが自信をもって着用できるファッション」をコンセプトに、カジュアルウェアやファッショングッズなどを展開し始めた。

 今回の試みは、「暮らす服」のメーンである既婚の女性顧客の延長線上にいるパートナーの男性の取り込みを狙ったもので、新カタログではシンプルなデザインのオリジナル商品を中心にカットソーやシャツ、ボトム、ジャケットなど約2000品番を展開。価格帯もカットソーやボトムなどで2000―5000円、ジャケット類の高いもので3万円弱にするなど、購入しやすい設定にしているのが特徴で、誌面作りの面でも、男性が機能や素材の情報を求める傾向があることから、説明文を厚くするといった工夫を盛り込む。

  一方、「メンズ暮らす服」の展開を拡大させていく上で重要なのは、実際に商品を着る男性にファッションに興味を持ってもらうこと。これについては、ターゲットの男性層が子育て世代に当たることに着目。一環として、4月6日に大阪で「メンズ暮らす服」の創刊を記念し、"パパをカッコよくするファッションショー"を開催する。

 こども目線でパパのファッションを改造することをテーマにベルメゾンの顧客会員「こどもたち&ママたち」から募集した"パパをカッコよくし隊"を編成。事前に収集した"パパのファッションに対する意見"をもとにファッションショーで数種類のコーディネイトを提案し、こども審査員の投票で人気コーディネイトを決定する。家族ぐるみで"パパのおしゃれを応援する"という流れを作ることで男性顧客のファッションへの興味付けを図り、実際の商品購入につなげる。  

 元来、女性のための化粧品でも男性の取込策が始まっている。ハーバー研究所は2月1日から、子会社の「男の美学」を通じて男性向け化粧品の通販を開始した。「飽和状態にある女性用と比べて微増傾向にある」(同社)と分析。乾燥や花粉症などのアレルギーを原因とした肌トラブルを気にする若年男性が増え、マーケットが拡大しているとして男性化粧品の販売に踏み切った。

  発売したのは「男の美学」で洗顔石けんと化粧水、シャンプーの3アイテム。「臭い」と「皮脂」という中年男性の悩みを軸に開発した商品で、"カサつくのにベタつく"という肌質に効果のある竹炭や柿タンニン、朝鮮人参粉末などの5成分を共通成分として配合した。

  同商品の販売に当たってはハーバー研究所の通販カタログ「無添加通信」のほか、通販サイトや実店舗で展開。それぞれで男性に興味を持ってもらえるよう表現を工夫。例えばカタログでは「読み込む傾向のある女性に対して、男性は視覚からの情報に納得する」(同社)と分析。特徴と機能を分けた表で訴求し、理論的で現実感のある内容で紹介した。

  販売開始からの立ち上がり1カ月後の状況は「予想以上の受注を獲得している」と好調に推移しているよう。今後、ハーバー研究所が持つ全国に構える販社や製造工場、物流体制を活用。3年後に男性向け化粧品で黒字化を目指すとしている。


  化粧品通販ではドクターシーラボも昨年8月から、専用の通販サイトを開設し、男性向け化粧品の販売を本格化させている。同サイトではターゲットであるビジネスマン層を取り巻く「ビジネスシーン」や「デート」「ウィークエンド」などの切り口から、コラムを交じえながら必要な化粧品を紹介。 13 .jpgのサムネール画像 

  例えば、「デート」では「彼女や妻が惚れ直す男の身だしなみ」と題したコラムで「2人の距離がぐっと近づくデートだからこそ、ニオイ対策を万全に」として、その対処法として消臭クリームや消臭サプリなどを紹介する形だ。「うんちく好き」な男性に興味を持ってもらう仕掛けで拡販を強化していく考えのようだ。

"未開拓層"の取込みへ

これまで手を付けてこなかった「未開拓層」の取り込みに着手することで、新たな売り上げを作る動きもあるようだ。

 例えば、セシールは主要顧客よりも下の層の開拓に向けた試みを開始している。昨年9月にネット専用のファストファッションブランド「ANITA AREBERG(アニタ アレンバーグ)」を新設、好調に推移しているようだ。20―30代の女性顧客をターゲットにしたもので、手の届きやすい価格設定や豊富なカラー展開などが奏効。同ブランドを起点に主要顧客である40代よりも下の年齢層を開拓・育成し、顧客基盤の拡充につなげる考えだ。
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 「アニタ アレンバーグ」で扱う商品は、衣料品やパンプス、バッグ、ファッション雑貨などで、価格帯は2000円弱―9000円弱程度。カタログよりもスピーディーな展開が可能なネットの特性を活かし、"今の流行"に合った商品を展開することをコンセプトに順次新たな商品を投入している。サイト上でのファッション雑誌的なイメージの商品の見せ方なども奏効し、これまでの展開では、狙い通り20―30代がメーンの購入顧客になっているという。

 また、同ブランドでは、ネットでのプロモーションのほかに、展開する既存顧客向けのチラシから40―50代既存顧客もサイトに来訪しているという。サイトに来訪しているのは主に日常的にネットを利用している顧客で、衣料品のように厳格にサイズを気にする必要がないパンプスやバッグなどを購入していくケースが多いなど、想定外の成果も出ている。

 同社では「アニタ アレンバーグ」の成果を踏まえ、今後、ファストファッションとは異なる路線のネット専用ブランドの展開などで、新たな客層の獲得を図ることも視野に入れているようだ。

 イマージュは取扱商品の拡充により、新規顧客層の開拓を進めている。まずは2010年中にも食品通販に乗り出す予定。同社では前身のシムリー時代に、産地直送商品などの通販を行っており、当時の顧客リストやノウハウを活かした事業を展開する。

 同社の主力顧客はF1層だが、食品頒布会カタログなどで産直品を取り扱っていた頃は、中高年の顧客も多かった。「例えばスイーツを販売するのであればこれまでと同じ層が対象だが、当時の顧客リストを活用することも考えたい」(同社・沼田憲孝副社長)。また、主力カタログの「イマージュコレクション」を創刊してから25年が経過していることもあり、休眠顧客の中には50代も少なくないという。

 こうした過去の資産を活用することで、収益拡大を図る。具体的な販売手法は不明だが、カタログや、グループ会社の化粧品「ライスフォース」を送付する際の同梱チラシの活用などが考えられそうだ。

 イマージュでは中国を中心としたアジアへの進出を視野に入れており、その際には衣料品以外にも「メイドインジャパンの商品を売りたい」(同)という。食品を中国などで販売するかどうかは未定だが、海外向け通販を意識した取り組みを今後も続けていく考えだ。

 不況の折、自身が得意とするコア層をさらに強化していく「守りの戦略」も一つの有効な施策だが、一方で次代の業績を支え得る新しい分野、新しい層の開拓を進めねば、ジリ貧になる可能性もある。守りと攻めのバランスが通販企業の今後の明暗を分けるのかも知れない。


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