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業績を伸ばす"はじめの一歩"

1h.jpg消費低迷やネット販売事業者、有店舗小売業など新興の通販事業者の台頭などで苦戦を強いられる既存通販企業。無論、黙っているわけではなく、現状を打破するため、これまで試みてこなかった「新たな施策」を打ち始めている。長らく手を付けられずにいた「カタログ制作期間の短縮」やニーズがあるものの、実現が難しかった「家具の組み立てサービスの日時指定」などの業務やサービスの改善。また、モバイルやファッションショー、コンビニなど新たな販路や媒体を積極的に活用した新規の顧客開拓などだ。各社が踏み出し始めた業績を伸ばすための「はじめの一歩」について見ていく。
媒体制作期間半分に、組み立て日指定を

 既存の業務フローや顧客へのサービスを見直して、弱点を払拭、強化することで売り上げ拡大につなげようと模索している2社の試みについて見ていく。

 まず、スクロールが実施している試みから。同社は「カタログ制作期間の短縮」を進めている。制作期間がかかる関係で、従来まで盛り込みにくかったトレンド商品の取り込みを図るためだ。今年の夏号から、カタログの企画から発行までの期間をこれまでの半分に短縮。アパレル会社の商品企画と同じサイクルで、デザインなどの流行を販売する商品に取り入れることができるようにする。

 これまでカタログの制作期間は8カ月間だったが、夏号から約半分の4カ月間に短縮。まずはアパレル関連から新しい体制に移行する予定だ。すでに企画チームは東京支店に移っており、デザインや素材などのトレンドをいち早く取り入れて誌面に反映させていく。

 また、カタログに掲載された商品は3カ月販売するが、売れ筋と死に筋を発行から2週間で見極め、売れ行きの悪い商品は早めに処分価格とする。さらに掲載する商品も「売れないものでも載せてカタログを"埋める"発想はやめる」(同社・堀田守社長)ことで、カタログの収束間際には在庫を残さないようにする。

 販促としては、シーズン単位で全体を包含したキャンペーンを行うほか、『ラプティ』などのブランドサイトでは、イベントという位置づけでサイトの中で集客を行い、顧客へのアプローチの頻度を上げる。また、ネット先行で販売し、動向を見てからカタログでの売り方を決めるといった販売方法も積極的に取り入れていく。堀田社長は「競合は同業他社ではなく、実店舗だという意識を持つことが必要だ」と語る。背景にあるのは、実店舗に対してスピード感に劣る通販の強みだった「値ごろ感」が失われているという危機感だ。機動的な商品企画と販促で、ライバルとなるSPA(製造小売業)ショップに対抗する。

 ディノスは大型家具などの有料組み立てサービスの届け日指定を"メニュー化"した。今年1月発刊の家具カタログ「ディノスリビング」のインフォメーションページ内に「有料組み立てサービスの届け日指定を受ける」と記述した。これは「家具通販」の世界では画期的なことのようだ。
 多くの家具通販実施企業の場合、カタログなどに堂々と「家具の組み立てサービスの届け日指定を受け付けます」と明記することはあまりない。

 なぜなら組み立てが必要な家具の場合、通販企業の多くはメーカー直送で対応しており、自社主導の配送とは別。また「業界特有の事情なのか納期を守らないメーカーが多い」(業界関係筋)。加えて、組み立てサービスは委託する配送業者が顧客の家で作業を行う。組み立てにかかる時間は数10分から数時間とモノによりけりだ。

 そうした事情から、あらかじめ家具の配送日や組み立て日を顧客に「約束できない」状況で「引越し」などで、どうしても決まった日に「家具を届け、組み立てて欲しい」という顧客の場合のみ、コールセンターのオペレーターが家具メーカーや配送業者と細かく連絡を取り、手動によるマンパワーで対応してきた。言わば"ひっそりと"対応するに留まっていた。

 こうした状況はディノスでも同じだったが、当たり前のように届け日指定ができる家具店との競争や前述の通り、「この日に届けて欲しい」という顧客からの要望は多い。また、その要望をオペレーターが手動で対応するには労力的にも煩雑だ。

 こうしたことから、取引先の家具メーカーをまわって、納期の徹底を図りつつ、配送業者に協力を要請。対応するシステムも新たに作り、手動ではなく、自動で「組み立てサービスの届け日指定」を昨年10月からコールセンターで受けられるようにした。

 暫くコールセンターで要望があった場合のみ、対応してきた同サービスを今年1月発刊のカタログのインフォメーションページに記載、メニュー化した。現状、テスト的な意味合いから明記しているのは東京在住の顧客に配布したカタログのみ。家具の繁忙期である3、4月で利用状況や費用対効果を見てから、早ければ今秋冬から全国版のカタログでもメニュー化する計画。隠れたサービスではなく、顧客に当たり前のメニューとして提示することで苦戦する家具の売り上げ拡大に役立てる考えだ。

イベント・モバイル・コンビニで拡販を

 これまでの媒体や販路にとらわれず、積極的に新しいチャネルを活用して、これまで獲得できなかった新規顧客の獲得や顧客の囲い込みを図る通販企業も出てきている。

 例えばイマージュ。同社はブランディングが企画・運営するファッションイベント「東京ガールズコレクション(TGC)=上記の写真は08年に開催された同イベントの様子」に、通販企業としては初めて参加を決めた。同イベントはモデルがショーで着用した洋服を、来場者が携帯電話を利用してその場で購入できるのが特徴で、F1層に人気のブランドが参加する。約2万人の来場者に商品をアピールし新規顧客開拓につなげる狙い。

 ファッションショーで着用するのは、イマージュの春カタログに掲載された商品。TGCの特設サイトを用意し、携帯電話はパソコンから商品を購入できるようにする。

 また、紙媒体も活用し、イベントとの相乗効果を狙う。雑誌や同梱チラシ、同社の夏カタログなどでTGCに参加したことをアピールする予定だ。3月6日のイベント当日には、ブース出展も行う予定でグループ会社で化粧品通販を手掛けるアイムの「ライスフォース」もアピールする。

 テレビ通販事業を行うオークローンマーケティング(OLM)は2月22日から、携帯電話端末上に情報を配信するNTTドコモのサービス「iコンシェル」への対応を始めた。同サービスは契約する携帯ユーザーの趣味嗜好に合った情報を携帯電話の待ち受け画面上に配信するもの。

 OLMは登録ユーザーに向け、運営するモバイル通販サイト「ショップジャパン」「ヒルズコレクション」「エクサボディ」それぞれ別々にセールや新商品案内、イベントの招待、通販番組で紹介した商品情報などを週1回程度、配信する。

 「iコンシェル」を活用しての商品情報やセール情報の配信はすでにニッセンや食品のネット販売を行うオイシックス、楽天などが対応中。OLMでは「iコンシェル」による情報配信で主に既存顧客の囲い込み、購入頻度の向上につなげたい狙いがあるようだ。

 セシールは店舗小売業への商品卸事業の拡大を進めている。卸事業は昨年4月にDCMジャパンが運営するホームセンターへ寝装品やキッチン用品などの供給を開始。同年7月からはGMS大手のイトーヨーカ堂が運営するネット販売、今年2月16日から「ナチュラルローソン」(東京都および千葉、神奈川の75店)へ商品供給を始めた。

 それぞれの業態特性に応じた商品展開にも取り組んでいるもようで、「セシレーヌ」ブランドのパンスト(2足組)を供給する「ナチュラルローソン」の場合、コンビニの利用シーンを意識し、台紙等を省いて女性のカバンに収納しやすいサイズの商品パッケージを採用。価格も税込600円と値頃感を打ち出している。

 店頭では販売什器の側面に取り付ける吊るしフック付きのPOP(縦70センチメートル×横30センチメートル)で商品を展開。コンビニでは商品の改廃が激しく、いかに売場を確保するかが課題になるが、フック式の専用POPを使うことで省スペースの独立した売場を確保、商品の訴求力を高めた形だ。

 現状セシールでは、卸事業の売り上げについて公表していないが、新たな柱として育成を推進。本業の通販での新規顧客獲得効果も期待する。

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