昨年から今年にかけて日本で事業を開始した会員制のブランド格安サイトは別表通り。米ギルト・グループが昨年3月に日本法人を介して、日本で事業を開始して以降、独立系のグラムール セールスホールディング・リミテッド(GLSHD)が同じく昨年の8月に通販サイト「グラムール セールス」を開設。次いでカナダや北米を中心にブランド品の会員制ネット販売サイトを展開するビヨンド・ザ・ラック(BTR)やネットプライスなど数社の合弁で新会社、ブランディシモを設置。今年1月下旬から、日本でもネット販売をスタートさせた。
各社とも若干の違いはあるが、基本的には同様のビジネスモデルで、販売する商品は「グッチ」や「エルメス」などいわゆる一流ブランド。1ブランドごとに「セール」もしくは「イベント」と称して数日間の期間限定かつ数量限定で定価の半値、場合によっては7割引で販売する仕組み。
特徴的なのは「買い手」を限定している点。各サイトで商品を購入するには既存の会員から招待を受け、会員になる必要がある。各社とも日本展開に際しては、「一見さん」でも自ら会員登録すれば会員になれる制度を設けていたが、会員登録希望者が殺到したことから「会員にすらなれない」ユーザーも多い状況となっているようだ。
好調な会員数の伸びと比例して、各社とも事業開始後の滑り出しは順調のよう。先発のギルトでは想定以上に会員が増加。事業開始後すぐに品切れするケースが相次いだことから、サイト開設から1週間で本来の招待制に移行した。その後、今年1月時点で28万人に達した。売り上げも順調で昨秋時点で「当初計画の約1.5倍」(桑野克己社長)と好調に推移しているようだ。
GLSHDも同じく今年1月時点で会員数は8万人を突破。今期は年商10億円を見込むなど、一定の業績を上げているようだ。最後発のブランディシモも1月22日の営業開始を前に会員登録が殺到。会員募集から1カ月足らずで初回の募集会員枠3万人を越え、現状、「会員になれるのを待っているユーザー」が相当数いる模様で順調な滑り出しが伺える。
こうしたサイトに会員登録が殺到する人気の理由。それは前述した通り、高級ブランドが格安で購入できる点にある。不況とは言え、ブランド品の人気は根強く、それが安く購入できるという訴求力は強く、不況がむしろ追い風となっている。ただ、一流ブランド品を格安で販売することは誰もができるわけではない。確かにブランド各社は世界的な不況や安価なファストファッションの台頭で、在庫を抱える。シーズン落ちの在庫などは捌き切れず、「廃棄したり燃やしたりする」(業界筋)こともあるようだ。
とは言え、イメージが1つの「武器」であるブランド各社にとって、ディスカウントが前提の通販サイトに商品を卸すのはタブー。そこで会員制かつ販売期間を限定する形を採り、ブランド側の懸念を払拭。在庫を安価に仕入れ、格安で一流ブランドの商品をネット販売できる仕組みだ。
こうしたビジネスモデルは一昨年あたりから欧米でギルトなどが始め、急成長を見せているようだ。そうした海外成功組が日本への参入を本格化。すでに事業展開を始めている3社以外にも、今年の春先をメドに欧州の某企業が日本参入を予定しているとの話もあり、日本においても市場はまだまだ拡大しそうな気配。アパレルを展開する通販企業にとっては強力な競合となる可能性がある。
ブランド格安サイトの今後の戦略は?カギ握るブランドの開拓
次々に日本で事業を開始した会員制格安ブランド通販サイト。スタート段階では順調な滑り出しを見せているようだが、今後はどうなるのか。
当たり前の話だが、このビジネスモデルは「格安な一流ブランド品」とそれを即時に完売しうる「会員」の両輪があって成り立つ仕組みだ。「普段は手が出ない憧れの高級ブランドが安価で購入できる」という旨みがなければ、会員は集まらない。
一方、ブランド各社から安価な価格で商品を卸してもらうという協力を得られなければ、格安で高級ブランド品を販売することは不可能だ。そのためには、確実に在庫を捌くための一定の会員数を確保する必要がある。
特に厄介なのは商品調達。つまり、ブランド各社からの協力を取り付ける点だと言えそう。「会員制」や「期間限定」という工夫を講じているとは言え、やはり、ディスカウンターとの取り引きには難色を示すブランドは多い。
ブランド格安通販サイト各社は元セレクトショップのバイヤーや有名ブランド企業出身者などを採用して、現状、取引先の開拓を進めているようだが、ある有名インポートブランドの関係者は「確かに在庫処分のツールとしては魅力的。ただ、まだどういうものか理解していない。本当にイメージを損なうことなく、在庫を捌けるのか様子見」と話す。そう容易にはブランド各社からの協力を得ることは難しそうだ。
ブランド格安通販サイト各社はその「壁」を乗り越えるには、ブランド格安通販サイトのビジネスモデルの理解に加え、圧倒的な販売力の源泉である会員数を確保する必要が出てくるわけだ。
そのため、各社が力を入れているのは各種のイベント。人気モデルや芸能人を起用して、派手なイベントを開催。これにより、ブランド側と消費者に向けて、存在をアピールすること躍起だ。ギルトではモデルのマリエさんをバイヤーに起用し、昨年の11月20日と23日にニューヨーク発の人気ブランド「マークジェイコブス」と、同セカンドラインの「マークバイマークジェイコブス」のセール販売した。モデル自身に商品を選定させるという仕掛けでイベントを行い、ブランド側の注目と顧客開拓につなげる狙いだ。
イベントにはギルトに出品したことのないブランドの関係者も多数参加しており、ネット販売でもブランドイメージを傷つけず、集客も見込める運営手法をPRできた様子。イベントはブランディシモなども今年の春先に予定しているようだ。
イベントに加え、並行して実施しているのがファッションアパレル以外の商材の拡充。高級ブランドは人気は高いが、それらを継続して、一定量を購入する層は限られている。多様なブランドとの取り引きにおいては、様々な層の顧客を取り込む必要がある。
先発のギルトでは昨年11月から、デザイン家電の「アマダナ」ブランドを販売して一定の成果を得たようだ。その後、スキンケア商品のテスト販売も実施。物販以外でも、米国では旅行やホテルの宿泊プランを提案する企画ページを構えており、日本でも同様の展開を考えている模様。GLSHDでもすでに商材には高級ホテルなどの宿泊予約を取り扱っている。また、ブランディシモは現状、会員に男性も多いことから、ステーショナリーやデジカメなどガジェット系商品の取り扱いも視野に入れているようだ。
ともあれ、日本でも本格的に始まったブランドの格安通販サイト。今後、ネット販売市場において「台風の目」となるのか。新たな通販プレイヤーとしても、既存事業者の競合としても行方を注視する必要がありそうだ。
各社とも若干の違いはあるが、基本的には同様のビジネスモデルで、販売する商品は「グッチ」や「エルメス」などいわゆる一流ブランド。1ブランドごとに「セール」もしくは「イベント」と称して数日間の期間限定かつ数量限定で定価の半値、場合によっては7割引で販売する仕組み。
特徴的なのは「買い手」を限定している点。各サイトで商品を購入するには既存の会員から招待を受け、会員になる必要がある。各社とも日本展開に際しては、「一見さん」でも自ら会員登録すれば会員になれる制度を設けていたが、会員登録希望者が殺到したことから「会員にすらなれない」ユーザーも多い状況となっているようだ。
好調な会員数の伸びと比例して、各社とも事業開始後の滑り出しは順調のよう。先発のギルトでは想定以上に会員が増加。事業開始後すぐに品切れするケースが相次いだことから、サイト開設から1週間で本来の招待制に移行した。その後、今年1月時点で28万人に達した。売り上げも順調で昨秋時点で「当初計画の約1.5倍」(桑野克己社長)と好調に推移しているようだ。
GLSHDも同じく今年1月時点で会員数は8万人を突破。今期は年商10億円を見込むなど、一定の業績を上げているようだ。最後発のブランディシモも1月22日の営業開始を前に会員登録が殺到。会員募集から1カ月足らずで初回の募集会員枠3万人を越え、現状、「会員になれるのを待っているユーザー」が相当数いる模様で順調な滑り出しが伺える。
こうしたサイトに会員登録が殺到する人気の理由。それは前述した通り、高級ブランドが格安で購入できる点にある。不況とは言え、ブランド品の人気は根強く、それが安く購入できるという訴求力は強く、不況がむしろ追い風となっている。ただ、一流ブランド品を格安で販売することは誰もができるわけではない。確かにブランド各社は世界的な不況や安価なファストファッションの台頭で、在庫を抱える。シーズン落ちの在庫などは捌き切れず、「廃棄したり燃やしたりする」(業界筋)こともあるようだ。
とは言え、イメージが1つの「武器」であるブランド各社にとって、ディスカウントが前提の通販サイトに商品を卸すのはタブー。そこで会員制かつ販売期間を限定する形を採り、ブランド側の懸念を払拭。在庫を安価に仕入れ、格安で一流ブランドの商品をネット販売できる仕組みだ。
こうしたビジネスモデルは一昨年あたりから欧米でギルトなどが始め、急成長を見せているようだ。そうした海外成功組が日本への参入を本格化。すでに事業展開を始めている3社以外にも、今年の春先をメドに欧州の某企業が日本参入を予定しているとの話もあり、日本においても市場はまだまだ拡大しそうな気配。アパレルを展開する通販企業にとっては強力な競合となる可能性がある。
ブランド格安サイトの今後の戦略は?カギ握るブランドの開拓
次々に日本で事業を開始した会員制格安ブランド通販サイト。スタート段階では順調な滑り出しを見せているようだが、今後はどうなるのか。
当たり前の話だが、このビジネスモデルは「格安な一流ブランド品」とそれを即時に完売しうる「会員」の両輪があって成り立つ仕組みだ。「普段は手が出ない憧れの高級ブランドが安価で購入できる」という旨みがなければ、会員は集まらない。
一方、ブランド各社から安価な価格で商品を卸してもらうという協力を得られなければ、格安で高級ブランド品を販売することは不可能だ。そのためには、確実に在庫を捌くための一定の会員数を確保する必要がある。
特に厄介なのは商品調達。つまり、ブランド各社からの協力を取り付ける点だと言えそう。「会員制」や「期間限定」という工夫を講じているとは言え、やはり、ディスカウンターとの取り引きには難色を示すブランドは多い。
ブランド格安通販サイト各社は元セレクトショップのバイヤーや有名ブランド企業出身者などを採用して、現状、取引先の開拓を進めているようだが、ある有名インポートブランドの関係者は「確かに在庫処分のツールとしては魅力的。ただ、まだどういうものか理解していない。本当にイメージを損なうことなく、在庫を捌けるのか様子見」と話す。そう容易にはブランド各社からの協力を得ることは難しそうだ。
ブランド格安通販サイト各社はその「壁」を乗り越えるには、ブランド格安通販サイトのビジネスモデルの理解に加え、圧倒的な販売力の源泉である会員数を確保する必要が出てくるわけだ。
そのため、各社が力を入れているのは各種のイベント。人気モデルや芸能人を起用して、派手なイベントを開催。これにより、ブランド側と消費者に向けて、存在をアピールすること躍起だ。ギルトではモデルのマリエさんをバイヤーに起用し、昨年の11月20日と23日にニューヨーク発の人気ブランド「マークジェイコブス」と、同セカンドラインの「マークバイマークジェイコブス」のセール販売した。モデル自身に商品を選定させるという仕掛けでイベントを行い、ブランド側の注目と顧客開拓につなげる狙いだ。
イベントにはギルトに出品したことのないブランドの関係者も多数参加しており、ネット販売でもブランドイメージを傷つけず、集客も見込める運営手法をPRできた様子。イベントはブランディシモなども今年の春先に予定しているようだ。
イベントに加え、並行して実施しているのがファッションアパレル以外の商材の拡充。高級ブランドは人気は高いが、それらを継続して、一定量を購入する層は限られている。多様なブランドとの取り引きにおいては、様々な層の顧客を取り込む必要がある。
先発のギルトでは昨年11月から、デザイン家電の「アマダナ」ブランドを販売して一定の成果を得たようだ。その後、スキンケア商品のテスト販売も実施。物販以外でも、米国では旅行やホテルの宿泊プランを提案する企画ページを構えており、日本でも同様の展開を考えている模様。GLSHDでもすでに商材には高級ホテルなどの宿泊予約を取り扱っている。また、ブランディシモは現状、会員に男性も多いことから、ステーショナリーやデジカメなどガジェット系商品の取り扱いも視野に入れているようだ。
ともあれ、日本でも本格的に始まったブランドの格安通販サイト。今後、ネット販売市場において「台風の目」となるのか。新たな通販プレイヤーとしても、既存事業者の競合としても行方を注視する必要がありそうだ。
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