足元の業績は明るい兆し
昨年来の不況からいまだ脱し切れない中、始まった2010年。通販実施企業に景況感について尋ねると、「今年も厳しい状況が続く」(山田養蜂場の山田英生社長)、「今年も去年と大きな変化はないだろう」(ジュピターショップチャンネルの篠原淳史社長)、「底打ち感はなく、良くなるイメージが湧かない」(スクロールの堀田守社長)など今年の景気を厳しく見る企業が多かった。
しかし一方で、足元の業績については明るい兆しが現れ始めている企業も多いようだ。例えば、千趣会では「年末商戦はあまり伸びなかったものの、1月に創刊したインテリア・雑貨カタログ『sumutoco(すむとこ)』の出足は順調」(澤本壮八常務)という。
山田養蜂場では、今期売上高が前年比微増で推移。新商品の投入や既存商品のリニューアルなどを積極的に行っているが、売り上げのプラス分は、こうした取り組みによる伸びだという。
不況の影響を受けて、業績が悪化していた百貨店各社の通販も回復基調にあるようだ。
三越では「昨年11月を底に業績は回復基調。いまだ前年比マイナスではあるが、下げ幅は5%程度に戻している。昨年12月の売り上げを下支えしたのが、スポットで発刊したカタログだ。通常のゼネラルカタログの反響が一段落する時期に、良いタイミングでカタログを打てた」(塩野邦夫通信販売事業部長)という。
高島屋では「昨年12月から、引き合いが戻ってきている。実店舗が苦戦する中、テレビ通販やネット販売は動きが良く、12月は通販全体では2.2%の小幅なマイナスにとどまった」(内田茂クロスメディア事業部長)という。
不況をものともせず、もはや好調と言える企業も出てきている。新日本製薬は09年11月期の売上高が前年比20%増の161億円。「順調に推移している」(後藤孝洋社長)という。同社では、もともとダイエット系の健康食品をメーンとしてきたが、この数年は基礎化粧品の「ラフィネ」シリーズが全体をけん引。既に基礎化粧品の売上高が健食を上回っている状況だ。無論、同社も他社と同様に新規顧客の獲得が厳しくなっているが、もともと商品単価が安く、顧客の価格志向の強まりに上手くはまっていることも奏効している。
このほか、テレビ通販を軸とする通販実施企業も好調を維持するところが多い。特にキー局系の通販は順調な様子。日本テレビ放送網では第3四半期の売上高伸長率は年末の歳暮特番で実施したオリジナルバッグなどを中心に伸び、前年同期比およそ50%増で推移。同じくキー局系ではテレビ東京ダイレクトが不況による消費者の「巣篭もり需要」を取り込み、洗剤等の掃除用品をフックに業績を拡大。12月単月の売上高は昨年中、月次ベースで最も大きな売り上げを上げた7月に次ぐ、売上高を記録した。
2010年の各社の展望は?
各社への聞き取り調査から判断する限り、不況とは言え、その厳しい環境下でも「やるべきこと」が明確に見えている企業も多い印象だ。そしてそれらを確実に具現化できた企業は業績回復を遂げつつあるようだ。では、2010年。通販実施企業各社はどんな戦略を描いているのだろうか。各社に課題や展望について聞いた。
ニッセンでは「今年からネット利用者限定のカタログ配布を開始した。ネット会員に対して紙媒体の配布を行う」などクロスメディア戦略強化を進める意向。スクロールでは「既存事業だけでは伸ばしていくのは困難。M&Aや提携を進める必要があるだろう。F1層にアピールするような化粧品事業に興味がある。一方、既存の事業は収益のバランスを崩さないようにしたい」とする。イマージュHDも「今期(2月期)は最終黒字に転換する見込みで、これを足がかりに反転攻勢したい」という。
百貨店各社は「今年は店頭顧客へのカタログ送付や食品の宅配事業など、足固めの1年になる。目新しい取り組みよりも、変革してきたことを根付かせることが大事」(三越)。「昨年9月にカタログとネット販売の担当部署を一本化し、クロスメディア事業部を新設した。営業力の強化などに取り組んでおり、今年はこの基盤固めに注力する。また、3月頃には通販サイトの統合も控えており、効率化の観点からも大事な取り組みになる。商品面では、昨年はテレビ通販の真珠が好調だった。今年も新規顧客の獲得を目指して真珠には力を入れる」(高島屋)と具体的な課題と方向性を挙げる。
化粧品通販各社はどうか。ファンケルでは「国内の化粧品市場が飽和感を高める中で、中国を中心とする海外市場に活路を見出す。国内のシェアを高めていくと同時に将来的には海外売上高の比率を30―40%程度まで高めたいと考えている」。オルビスでは「30―40代の(可処分所得の高い層など)継続性、ライフタイムバリューの高い顧客を成長の核に据えていく必要があると考えている」としている。オージオでは「昨年立ち上げた新ブランド『なちゅライフ』が徐々に育ってきているので、アクセルを踏みたい。基幹ブランド『オージオ』も商品ラインアップを拡大したい」という。
新日本製薬では好調な推移を見せる化粧品を軸に業容の拡大を図る意向で、この一環として化粧品店舗の直営展開に着手。3月に福岡県内に第1号店をオープンし、宮城県や鹿児島県など年内中に5店舗程度を開設する予定だ。また、中国への進出を計画。昨年末に現地法人を設立しており、店販のほかネット販売を行う予定で、現在準備作業を進めているという。「中国、アジアで通用するブランドになれるか、チャレンジしはじめたところ」(後藤社長)とし今年を大きな節目の年と位置付けているようだ。
比較的、好調なテレビ通販各社は今年の課題や目標について「特番は好調だが、既存のレギュラー枠は少し、力が落ち始めた。テコ入れを図りたい」(日テレ)。「とりあえず現状を維持しつつ、来るべき、景気回復に備え、基盤強化に取り組む」(テレ東ダイレクト)。「演出や商品を工夫して見てもらえる番組作りを進める」(ジュピターショップチャンネル)としている。
このほか、トウ・キユーピーは「新規顧客の獲得が課題」(岡宗直樹社長)だという。新規顧客の獲得策として成果を出し始めているのが昨年10月頃から行っているツーステップ方式の採用。「レスポンスが見え始めてきた」(同)。今年は、この手法の検証作業を進めるなど基盤固めを進める意向で、売上高も現状維持を目標にするという。
世界文化社では「今年はネット販売事業に注力していく。今年の春には通販サイトのリニューアルを行う計画だ。ネットではカタログの商品が購入できるのはもちろん、プラスアルファとしてネット独自の施策も行う予定」。インペリアル・エンタープライズでは「今までと同じものを開発するだけでは成果が得られないので、今年はよりオリジナリティの追求を強めていくつもり」という。
昨年来の不況からいまだ脱し切れない中、始まった2010年。通販実施企業に景況感について尋ねると、「今年も厳しい状況が続く」(山田養蜂場の山田英生社長)、「今年も去年と大きな変化はないだろう」(ジュピターショップチャンネルの篠原淳史社長)、「底打ち感はなく、良くなるイメージが湧かない」(スクロールの堀田守社長)など今年の景気を厳しく見る企業が多かった。
しかし一方で、足元の業績については明るい兆しが現れ始めている企業も多いようだ。例えば、千趣会では「年末商戦はあまり伸びなかったものの、1月に創刊したインテリア・雑貨カタログ『sumutoco(すむとこ)』の出足は順調」(澤本壮八常務)という。
山田養蜂場では、今期売上高が前年比微増で推移。新商品の投入や既存商品のリニューアルなどを積極的に行っているが、売り上げのプラス分は、こうした取り組みによる伸びだという。
不況の影響を受けて、業績が悪化していた百貨店各社の通販も回復基調にあるようだ。
三越では「昨年11月を底に業績は回復基調。いまだ前年比マイナスではあるが、下げ幅は5%程度に戻している。昨年12月の売り上げを下支えしたのが、スポットで発刊したカタログだ。通常のゼネラルカタログの反響が一段落する時期に、良いタイミングでカタログを打てた」(塩野邦夫通信販売事業部長)という。
高島屋では「昨年12月から、引き合いが戻ってきている。実店舗が苦戦する中、テレビ通販やネット販売は動きが良く、12月は通販全体では2.2%の小幅なマイナスにとどまった」(内田茂クロスメディア事業部長)という。
不況をものともせず、もはや好調と言える企業も出てきている。新日本製薬は09年11月期の売上高が前年比20%増の161億円。「順調に推移している」(後藤孝洋社長)という。同社では、もともとダイエット系の健康食品をメーンとしてきたが、この数年は基礎化粧品の「ラフィネ」シリーズが全体をけん引。既に基礎化粧品の売上高が健食を上回っている状況だ。無論、同社も他社と同様に新規顧客の獲得が厳しくなっているが、もともと商品単価が安く、顧客の価格志向の強まりに上手くはまっていることも奏効している。
このほか、テレビ通販を軸とする通販実施企業も好調を維持するところが多い。特にキー局系の通販は順調な様子。日本テレビ放送網では第3四半期の売上高伸長率は年末の歳暮特番で実施したオリジナルバッグなどを中心に伸び、前年同期比およそ50%増で推移。同じくキー局系ではテレビ東京ダイレクトが不況による消費者の「巣篭もり需要」を取り込み、洗剤等の掃除用品をフックに業績を拡大。12月単月の売上高は昨年中、月次ベースで最も大きな売り上げを上げた7月に次ぐ、売上高を記録した。
2010年の各社の展望は?
各社への聞き取り調査から判断する限り、不況とは言え、その厳しい環境下でも「やるべきこと」が明確に見えている企業も多い印象だ。そしてそれらを確実に具現化できた企業は業績回復を遂げつつあるようだ。では、2010年。通販実施企業各社はどんな戦略を描いているのだろうか。各社に課題や展望について聞いた。
ニッセンでは「今年からネット利用者限定のカタログ配布を開始した。ネット会員に対して紙媒体の配布を行う」などクロスメディア戦略強化を進める意向。スクロールでは「既存事業だけでは伸ばしていくのは困難。M&Aや提携を進める必要があるだろう。F1層にアピールするような化粧品事業に興味がある。一方、既存の事業は収益のバランスを崩さないようにしたい」とする。イマージュHDも「今期(2月期)は最終黒字に転換する見込みで、これを足がかりに反転攻勢したい」という。
百貨店各社は「今年は店頭顧客へのカタログ送付や食品の宅配事業など、足固めの1年になる。目新しい取り組みよりも、変革してきたことを根付かせることが大事」(三越)。「昨年9月にカタログとネット販売の担当部署を一本化し、クロスメディア事業部を新設した。営業力の強化などに取り組んでおり、今年はこの基盤固めに注力する。また、3月頃には通販サイトの統合も控えており、効率化の観点からも大事な取り組みになる。商品面では、昨年はテレビ通販の真珠が好調だった。今年も新規顧客の獲得を目指して真珠には力を入れる」(高島屋)と具体的な課題と方向性を挙げる。
化粧品通販各社はどうか。ファンケルでは「国内の化粧品市場が飽和感を高める中で、中国を中心とする海外市場に活路を見出す。国内のシェアを高めていくと同時に将来的には海外売上高の比率を30―40%程度まで高めたいと考えている」。オルビスでは「30―40代の(可処分所得の高い層など)継続性、ライフタイムバリューの高い顧客を成長の核に据えていく必要があると考えている」としている。オージオでは「昨年立ち上げた新ブランド『なちゅライフ』が徐々に育ってきているので、アクセルを踏みたい。基幹ブランド『オージオ』も商品ラインアップを拡大したい」という。
新日本製薬では好調な推移を見せる化粧品を軸に業容の拡大を図る意向で、この一環として化粧品店舗の直営展開に着手。3月に福岡県内に第1号店をオープンし、宮城県や鹿児島県など年内中に5店舗程度を開設する予定だ。また、中国への進出を計画。昨年末に現地法人を設立しており、店販のほかネット販売を行う予定で、現在準備作業を進めているという。「中国、アジアで通用するブランドになれるか、チャレンジしはじめたところ」(後藤社長)とし今年を大きな節目の年と位置付けているようだ。
比較的、好調なテレビ通販各社は今年の課題や目標について「特番は好調だが、既存のレギュラー枠は少し、力が落ち始めた。テコ入れを図りたい」(日テレ)。「とりあえず現状を維持しつつ、来るべき、景気回復に備え、基盤強化に取り組む」(テレ東ダイレクト)。「演出や商品を工夫して見てもらえる番組作りを進める」(ジュピターショップチャンネル)としている。
このほか、トウ・キユーピーは「新規顧客の獲得が課題」(岡宗直樹社長)だという。新規顧客の獲得策として成果を出し始めているのが昨年10月頃から行っているツーステップ方式の採用。「レスポンスが見え始めてきた」(同)。今年は、この手法の検証作業を進めるなど基盤固めを進める意向で、売上高も現状維持を目標にするという。
世界文化社では「今年はネット販売事業に注力していく。今年の春には通販サイトのリニューアルを行う計画だ。ネットではカタログの商品が購入できるのはもちろん、プラスアルファとしてネット独自の施策も行う予定」。インペリアル・エンタープライズでは「今までと同じものを開発するだけでは成果が得られないので、今年はよりオリジナリティの追求を強めていくつもり」という。
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