世の中の動きに対応した戦略を
「景気が悪いから、自分たちのビジネスも悪いというのは言い訳に過ぎない。時代の変化に合わせて、自分たちのビジネスを変えていけばいいだけ」。高田明社長はこう言い切る。
今年の初め、高田社長は商品担当者にこんな指示を出したという。「通常よりも単価の高い商品を販売しよう」。そうした指示を受け、白物家電を中心に昨年よ りも商品単価の高いいわゆる高機能商品を展開。例えば、掃除機などは従来の価格レンジよりも1、2万円程度、高い商品群の取り扱いを始めた。
この不況下で通常の小売事業者が採る戦略は低価格戦略であろう。他の通販企業でも単価の安い商品の品ぞろえを強化したり、値引きを行なうのが一般的だと言える。高田社長の指示はその逆だった。
しかし、先の掃除機は単価を上げたにも関わらず、結果として年間で20―30万台を販売。同商品だけで100億円程度の売り上げを上げた。また、昨年は3億円程度の売り上げだったブランド品を中心とした宝飾品も今期は10億円まで売り上げを伸ばしている。
「不況だからと言って、お客様はお金がない訳ではない。付加価値のある商品を価値ある価格で提供すれば、必ず購入頂ける」という高田社長の経営が図にあたった格好だと言える。
インフラ整備で積極的な投資も
「攻めの戦略」は商品政策だけではない。今期、注力したのは物流や受注、番組制作の基盤となるインフラの整備だ。つまり、それぞれの拠点の新設に踏み切った。不況下ではなるべく新規の投資を避け、経費を抑制するなど「守り」に入るのが普通だ。
しかし、同社では今年1月には体育館やナイター設備を完備したテニスコートやフットサル場、温泉などをひいた社員の福利厚生施設を本社近くに敷地に新設した。
3月には従来、物流拠点として使用していた本社1階のスペースに番組制作用の撮影スタジオを設置した。これまで撮影スタジオは本社に近い佐世保市内の旧本 社ビルに設けていたが、本社ビルの一階部分を改装、新たにスタジオを設けた。これまでのスタジオではスペース的に作れなかったリビングや勉強部屋など「生 活空間」をイメージしたセットを多数作った。
さらに5月には福岡にコールセンターを新設。10月には名古屋市郊外に物流施設の開発・運 営管理を行なうAMBが所有する約3万400平方メートルの物流拠点「AMB春日井・小牧東ディストリビューションセンター」の一部を借り受けた。同社で はこれまで愛知・愛西と北九州市内にそれぞれ物流拠点を構え、配送商品や配送地域ごとに両センターを使い分けてきた。これら物流拠点を統合することで物流 作業の効率化と業容拡大に対応。年商規模では2,500億円から3,000億円程度まで対応できる体制を整えた。
どれも少なくないコス トを投下したものと見られるが、これらも高田社長が持つ長期的な経営判断によるものだ。例えば、物流センターは今後、進める配送レベル向上の布石だ。主力 商品はなるべく在庫を持ち、短納期で顧客に商品を届ける。コールセンターは場合によっては20分以上、説明して販売する商品もある。説明ありきの商品の販 売には機能強化が不可欠だった。撮影スタジオも地上波やCS放送などテレビ通販のほか、同社では週に1回、毎週月曜日に4時間程度のネット限定のライブ放 送を実施している。こうした多様な映像製作のためには必要なものだ。
「社員に気持ちよく働いてもらう環境を整えることで仕事の効率も アップする。また、コールセンターや配送は品質を高めることで、結果としてお客様の支持を得られる。一番重要と見ていたインフラを整えた」と不況だからこ そ、商品に付加価値を与えるサービスレベルの向上に取り組んだ。
ネット、紙媒体が売上をけん引
こうした時代の変化に合わせた政策のほか、「エコポイント特需」の追い風を受けて、「商品単価は2、3割減」(同社)など単価下落が進むテレビも販売増で カバー。売り上げ拡大に貢献し、テレビ通販やラジオ通販などの電波媒体は前年とほぼ同程度の売り上げを維持。また、近年、力を入れるネット販売が前年比で 25%増の380億円程度と大幅に伸びる見込み。これに加え、カタログ、チラシなどの紙媒体も配布部数や地域の絞り込みなど効率化を図りながらも売上高は 伸び、今期の売上高は前年比で約100億円増、経常利益も10億円程度の増加と増収増益で着地する見込みとなった。
「良い時」ほど危機感を持つ
とは言え、高田社長に奢りはない。「結果的に今期も業績を拡大できそうだが、それは結果論でしかない。今年が良かったからと言って、来年もまた良いという保障はない。良い時ほど、危機感を持っている」と話す。
その危機感から常に長期的な戦略を前提とした経営を今後も実施していくようだ。例えば、人材。今年は番組のMC(司会者)を5人から10人に増やした。 「テレビの世界も変化し続けている。スタジオの新設を含め、MCを増やすことで、どんな変化にも対応していける体制を作る」(高田社長)狙いだ。
また、来年の採用も「100人から150人程度、採用する計画だ。現在、社員数は400人程度だが、2、3年後には600人体制まで増やす」(同)考え。こうした人材は番組制作や各種業務に充当して、体制強化を進める。
そして、売り上げには直接、結びつかない企業イメージアップへの投資も積極的だ。同社ではいわゆる通販枠以外に企業CMも実施しているが、今期は前期より も企業CMの出稿量は増えているようだ。今年10月からはタレントの国分太一さんをCMに起用するなどむしろ、ブランディングを強化している。これも来期 以降の業績拡大を見据えた布石と思われる。
生き残りかけ柔軟な経営を
「常に出てくる課題を解決しながら、とにかく走り続けることが大切」と高田社長は話す。市況の悪化や通販に対する行政サイドの規制強化など市場環境は現状、また来年以降も決して良くはない。
ただ、高田社長は「今後は確実に少子高齢化が進み、これまでのように経済が右肩上がりというわけにはいかない。つまり、それを前提とした経営では生き残れ ない」という。続けて「通販への規制強化は良いことではないがどうしようもできない以上、その中でどうすれば、生き残れるか。そのためには社内をどう変 え、その変化にどう対応できるかを考えるべきだ」と話す。
こうした時代の変化に対応して、今後も柔軟な経営を実践。来期は今期に整えた インフラやサービスを活用・強化しつつ、延長が決まった「エコポイント」や完全移行が迫る地上波のデジタル化などの追い風に乗りながら、業績の拡大を図っ ていくと見られるジャパネットたかた。不況下でも確実に業績を伸ばす通販市場の「勝ち組」のリーディングカンパニーとして、同社の経営や戦略は今後も注目 を集めそうだ。
「景気が悪いから、自分たちのビジネスも悪いというのは言い訳に過ぎない。時代の変化に合わせて、自分たちのビジネスを変えていけばいいだけ」。高田明社長はこう言い切る。
今年の初め、高田社長は商品担当者にこんな指示を出したという。「通常よりも単価の高い商品を販売しよう」。そうした指示を受け、白物家電を中心に昨年よ りも商品単価の高いいわゆる高機能商品を展開。例えば、掃除機などは従来の価格レンジよりも1、2万円程度、高い商品群の取り扱いを始めた。
この不況下で通常の小売事業者が採る戦略は低価格戦略であろう。他の通販企業でも単価の安い商品の品ぞろえを強化したり、値引きを行なうのが一般的だと言える。高田社長の指示はその逆だった。
しかし、先の掃除機は単価を上げたにも関わらず、結果として年間で20―30万台を販売。同商品だけで100億円程度の売り上げを上げた。また、昨年は3億円程度の売り上げだったブランド品を中心とした宝飾品も今期は10億円まで売り上げを伸ばしている。
「不況だからと言って、お客様はお金がない訳ではない。付加価値のある商品を価値ある価格で提供すれば、必ず購入頂ける」という高田社長の経営が図にあたった格好だと言える。
インフラ整備で積極的な投資も
「攻めの戦略」は商品政策だけではない。今期、注力したのは物流や受注、番組制作の基盤となるインフラの整備だ。つまり、それぞれの拠点の新設に踏み切った。不況下ではなるべく新規の投資を避け、経費を抑制するなど「守り」に入るのが普通だ。
しかし、同社では今年1月には体育館やナイター設備を完備したテニスコートやフットサル場、温泉などをひいた社員の福利厚生施設を本社近くに敷地に新設した。
3月には従来、物流拠点として使用していた本社1階のスペースに番組制作用の撮影スタジオを設置した。これまで撮影スタジオは本社に近い佐世保市内の旧本 社ビルに設けていたが、本社ビルの一階部分を改装、新たにスタジオを設けた。これまでのスタジオではスペース的に作れなかったリビングや勉強部屋など「生 活空間」をイメージしたセットを多数作った。
さらに5月には福岡にコールセンターを新設。10月には名古屋市郊外に物流施設の開発・運 営管理を行なうAMBが所有する約3万400平方メートルの物流拠点「AMB春日井・小牧東ディストリビューションセンター」の一部を借り受けた。同社で はこれまで愛知・愛西と北九州市内にそれぞれ物流拠点を構え、配送商品や配送地域ごとに両センターを使い分けてきた。これら物流拠点を統合することで物流 作業の効率化と業容拡大に対応。年商規模では2,500億円から3,000億円程度まで対応できる体制を整えた。
どれも少なくないコス トを投下したものと見られるが、これらも高田社長が持つ長期的な経営判断によるものだ。例えば、物流センターは今後、進める配送レベル向上の布石だ。主力 商品はなるべく在庫を持ち、短納期で顧客に商品を届ける。コールセンターは場合によっては20分以上、説明して販売する商品もある。説明ありきの商品の販 売には機能強化が不可欠だった。撮影スタジオも地上波やCS放送などテレビ通販のほか、同社では週に1回、毎週月曜日に4時間程度のネット限定のライブ放 送を実施している。こうした多様な映像製作のためには必要なものだ。
「社員に気持ちよく働いてもらう環境を整えることで仕事の効率も アップする。また、コールセンターや配送は品質を高めることで、結果としてお客様の支持を得られる。一番重要と見ていたインフラを整えた」と不況だからこ そ、商品に付加価値を与えるサービスレベルの向上に取り組んだ。
ネット、紙媒体が売上をけん引
こうした時代の変化に合わせた政策のほか、「エコポイント特需」の追い風を受けて、「商品単価は2、3割減」(同社)など単価下落が進むテレビも販売増で カバー。売り上げ拡大に貢献し、テレビ通販やラジオ通販などの電波媒体は前年とほぼ同程度の売り上げを維持。また、近年、力を入れるネット販売が前年比で 25%増の380億円程度と大幅に伸びる見込み。これに加え、カタログ、チラシなどの紙媒体も配布部数や地域の絞り込みなど効率化を図りながらも売上高は 伸び、今期の売上高は前年比で約100億円増、経常利益も10億円程度の増加と増収増益で着地する見込みとなった。
「良い時」ほど危機感を持つ
とは言え、高田社長に奢りはない。「結果的に今期も業績を拡大できそうだが、それは結果論でしかない。今年が良かったからと言って、来年もまた良いという保障はない。良い時ほど、危機感を持っている」と話す。
その危機感から常に長期的な戦略を前提とした経営を今後も実施していくようだ。例えば、人材。今年は番組のMC(司会者)を5人から10人に増やした。 「テレビの世界も変化し続けている。スタジオの新設を含め、MCを増やすことで、どんな変化にも対応していける体制を作る」(高田社長)狙いだ。
また、来年の採用も「100人から150人程度、採用する計画だ。現在、社員数は400人程度だが、2、3年後には600人体制まで増やす」(同)考え。こうした人材は番組制作や各種業務に充当して、体制強化を進める。
そして、売り上げには直接、結びつかない企業イメージアップへの投資も積極的だ。同社ではいわゆる通販枠以外に企業CMも実施しているが、今期は前期より も企業CMの出稿量は増えているようだ。今年10月からはタレントの国分太一さんをCMに起用するなどむしろ、ブランディングを強化している。これも来期 以降の業績拡大を見据えた布石と思われる。
生き残りかけ柔軟な経営を
「常に出てくる課題を解決しながら、とにかく走り続けることが大切」と高田社長は話す。市況の悪化や通販に対する行政サイドの規制強化など市場環境は現状、また来年以降も決して良くはない。
ただ、高田社長は「今後は確実に少子高齢化が進み、これまでのように経済が右肩上がりというわけにはいかない。つまり、それを前提とした経営では生き残れ ない」という。続けて「通販への規制強化は良いことではないがどうしようもできない以上、その中でどうすれば、生き残れるか。そのためには社内をどう変 え、その変化にどう対応できるかを考えるべきだ」と話す。
こうした時代の変化に対応して、今後も柔軟な経営を実践。来期は今期に整えた インフラやサービスを活用・強化しつつ、延長が決まった「エコポイント」や完全移行が迫る地上波のデジタル化などの追い風に乗りながら、業績の拡大を図っ ていくと見られるジャパネットたかた。不況下でも確実に業績を伸ばす通販市場の「勝ち組」のリーディングカンパニーとして、同社の経営や戦略は今後も注目 を集めそうだ。
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