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シーラボ、〝通販復活〟の要因は? 不況下でも3割増収 40代に照準シフトがカギに

090917_tokusyu1.jpgドクターシーラボの通販事業が快進撃を続けている。競合他社の化粧品通販企業がこの不況で苦戦を強いられる中、同社は破竹の勢いで売上高を伸ばし続けており、直近の決算である097月期の通販事業売上高は前年比で3割を越える増収。通販の大幅増が寄与し、総売上高も2割近い伸びとなった。しかし、今でこそ不況下で数少ない「通販の勝ち組」と言える同社だが、わずか数年前までは通販事業は「踊り場」で不振に喘いでいた。復活を遂げられた理由とは。

090917_tokusyu2.jpg 「特定の"何かだけ"が効いた訳ではない」。ドクターシーラボの通販事業を率いる神戸聡通信販売事業部長はここ最近の通販の好調要因についてこう話す。確かに同社に限らず、他の通販企業でもこの景気後退局面に際して様々な施策を打っている。しかし、その効果は限定的に終わり苦戦を強いられている。この"違い"とは何なのか。

 同社の戦略を見る前に同社の直近の業績を確認したい。097月期売上高は前年比19.8%増の2589,900万円。営業利益は同41.6%増の54300万円で着地した。増収増益の理由は主力事業である通販事業の3割を越す大幅な増収にある。

 総売上高(通販、卸、対面販売、海外事業)に占める通販事業売上高は1395,600万円と前年比34.4%増で推移。全体の業績をけん引したほか、通販事業は利益率が高く、前年比で4割近く伸びた利益面にも大きく貢献した。

 ちなみに通販以外の販路の売上高も順調で「卸売販売」が同17.6%増の71600万円。主販路が不況で来店客数が鈍い"百貨店の売り場"である「対面販売」も上期までの7%減から巻き返し、同1.4%減の418,700万円。戦略変更などから業績が落ちた「海外事業その他」(同30.9%減の94,600万円)を除けば、各販路とも順調だった。これは通販で好調な商品や各種施策の相乗効果に拠るところが大きく、各販路を支えた結果だ。

 「ドクターシーラボの通販躍進の秘密」は他社の商品に浮気しにくく、かつ可処分所得が多い「40代女性」にコアターゲットを切り替えたこと。そして、当該層に絞った商品投入、拡販策を一気呵成に進め、安定的な売り上げを稼げるリピーターを多く確保できたことにある。

 神戸部長が言うように小手先の"何かだけ"ではなく、戦略変更と各種施策が効果的に結びついた結果と言えそうだ。それでは何をしてきたのか。前述した戦略とそれに伴う拡販策を具体的に見ていく。

 通販躍進の大元にあるのがコアターゲットを従来の「2030代の女性」から「40代以上の女性」に変更したことにある。順調に拡大を見せる同社の通販事業だが、実は07年当時は苦戦を強いられていた。それまで日本では馴染みの薄かった医者が開発した「ドクターズコスメ」という切り口で「肌に悩みを抱えた女性」を取り込み、通販をメーンに業績拡大を遂げてきた。

 しかし07年。その通販事業が創業以来初の前年割れ。通販事業の伸び悩みとして考えられる要因は様々あるが大きいのは、従来までメーンターゲットとしてきた「肌にトラブル」を抱える「2030代の若い女性」では売上高を伸ばせなくなってきたことだ。

 一旦、肌の悩みが解消され、かつ「移り気」な若い女性をターゲットとしているために、価格帯の安い競合他社へとブランドスイッチしてしまうことが多く、リピート率が低下。化粧品通販は言うまでもなく、リピーターあっての商売だ。定着しない顧客の穴を埋めるべく、多額のコストを掛けて新規顧客開拓。獲得した顧客も継続しないという状況に陥っていた。

 また、主力商品である保湿ゲル「アクアコラーゲンゲル」以外の新商品を投入したものの、「若年女性層」というターゲットと「悩み解決」という切り口が変わらないため、業績をけん引する新商品が生み出せなかった。

 こうした状況を受けて、同社は07年以降、コアターゲットを「40代女性」に変更。40代は既存顧客層よりも可処分所得が多く購入単価が高い。また、リピート率も高い傾向にあるため、通販事業のテコ入れには有効と判断した。

 ターゲット変更にあわせてプロモーションなどの拡販策や商品開発の方向性も変更。テレビCMや新聞広告の内容を「年齢肌」や「エイジングケア」を全面に打ち出した内容に変更、40代に響く表現の模索を始めた。

 商品開発も当該層を意識したものとした。例えば目じりのたるみ解消などを訴求点とした「アクアコラーゲン エンリッチリフトEX」(=写真・右)や多機能ファンデーションでエイジングケアなどにも効果的と謳った「BBパーフェクトクリーム」(=同・左)。先の広告宣伝の変更とそれに合致する商品を投入したことで、思惑通り、「40代以上の顧客」を獲得。

 そして獲得した新規会員を定着化させる施策も同時に展開。079月から購入金額に応じて顧客をランク化し、それに伴う割引特典を付与する制度「ステップアップ割引」を開始。また通販カタログ代わりの会報誌を隔月から毎月発行に変更。また、昨年3月からはポイント制度をプレゼント交換型から代金充当型へと変更し、既存客の購買促進や新客のリピーター化を促した。この結果、同社の売り上げの柱が可処分所得やリピート率が総じて高い40代になり、業績回復に貢献した。

 コアターゲットの変更で息を吹き返した同社はさらに増収策を展開。開拓した新規顧客の定着率をあげるため、無料サンプルの内容の見直しに着手。サンプルは「お試し」ではなく、効果が実感できるように増量した。

 こうした方向性が成功した例としては今年1月に実施した「エンリッチリフトEX」の拡販のために実施した全国紙での新聞広告。通常のサンプル請求でなく、「モニター募集」という形でサンプルの内容量を増やし、「効果を実感して頂けるように通常のサンプルよりも増やした」(小杉裕之財務部長)ことで、サンプル請求者からの本商品購入率が伸びたようだ。

 一方で今年5月にシステムおよび通販サイトを刷新(=写真)。「顧客の購買履歴等の各種データの分析が容易となり、ネット経由での売上高拡大につながった」(同)と、新たな販路であるネット販売の強化も進める。なお、前期の通販売上高に占めるネット販売売上高は35%でおよそ49億円だった。

 通販の復活に成功した同社だが、その戦略に陰りはないのか。それについては「他社さんは苦戦しているようだが、当社では前期後半から新客獲得の伸びが非常に順調に推移している」(小杉部長)して依然、強気。そして今期(20107月)の業績見通しも売上高が前期比16.6%増の302億円、営業利益は同11.0%増の60億円と鼻息は荒い。

 売上高の販路別計画を見てみると「通販」が170億円、「卸売販売」が792,800万円、「対面販売」が446,600万円、「海外事業その他」が8600万円。今期も通販を2割近く伸ばす計画だ。

 今期は前期から本格化させたインフォマーシャルを強化。同社ではインフォマーシャルの内容を前期から変更。サンプル請求ではなく、本商品の直接購入につなげる内容として主に「BBクリーム」を訴求してきた。今期からインフォマーシャルに「エンリッチリフトEX」も投入。また、これまでのCS放送のほか、地上波を含め通販枠を拡充させる方針。併せて新聞広告の出航量なども増やし、新客獲得を積極化させる狙いだ。

 同社の快進撃がどこまで続くのか。不況下でも業績を伸ばす成功事例として、他の通販事業者も同社の戦略と今後を注視する価値はありそうだ。(解説「ドクターシーラボの強さとは?」は本紙掲載)

 

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