民主党、マニフェスト掲載も検討
「(健食の法制化を含む統合医療推進を)今衆院選マニフェストに盛り込むことが党内でも議論されていた」――。昨年3月に発足した「統合医療を普及・推進する議員の会(統合医療議連)」の牧義夫議員事務所では衆院選をこう振り返る。昨年末、法制化に言及した中間報告をまとめたが、解散が近づく中で活動が停滞。「最終報告に至らなかったためマニフェスト掲載を控えた」(同)という。
ただ、法制化となれば既成の薬事行政に切り込むことになる。医師会や薬剤師会の抵抗が必至だが「慎重さが求められたのは自民党政権下での話」(同)と一蹴する。今後も議連の活動を継続し、最終報告をまとめ政策への反映を図る考えだ。
民主党内の一議連の決定が重要な意味を帯びる背景には議連会長を務める鳩山代表の存在がある。
鳩山代表、健食に浅からぬ関心
鳩山代表は表に示す議連の全てに参加。自らの肝煎りで立ち上げたものも少なくない。日頃、ややオカルトよりの嗜好を〝宇宙人〟と揶揄される同氏だが健食への関心はいかほどか。「統合医療議連」には「度々参加している」(同)としており、浅からぬ関心を抱いているようだ。
さらに、鳩山代表が健食に肩入れする背景には別の事情もありそう。ディーエイチシー(DHC)吉田嘉明会長による個人献金だ。
政治資金収支報告書によると吉田会長は07年に鳩山氏の政治団体に150万円を献金。吉田会長の考えは定かでなく、法制化と関係するとも思われない。が、マニフェストで企業団体献金の禁止と訴える鳩山氏。個人献金に感じる重みは想像に難くなく、どういった〝筋〟の支援か意識していてもおかしくはない。
前田前議員、国政復帰窺う
そして連鎖販売擁護発言報道で離党を余儀なくされた〝あの〟議員も国政復帰を窺う。
民主党前議員の前田雄吉氏は「来夏の参院選出馬も検討する」と意欲的。再起を果たした際の重要テーマに健食の法制化を掲げる。
同氏は現職時代、超党派の「健康食品問題研究会(健食議連)」で法制化運動の急先鋒だった。「今は在野の身だが、政権交代を機に法制化を提案していこうと思う」と話す。
ただ、「鍼灸から健食まで多様な分野を対象とする『統合医療議連』とは少し色彩が異なる。ピンポイントでやらないといけない」(同)と、党内の意見は必ずしも一致していなかったよう。復帰しても党内調整に時間を割くことになりそうだ。
石崎前議員、政界引退を表明
一方の自民党はどうか。「健食議連」会長を務めた石崎岳議員、参加議員の1人、渡嘉敷奈緒美議員も落選した。
ただ、「健食議連」は昨年末から休眠状態。民主党から同議連に参加する前田氏や牧議員が連鎖擁護発言報道やDM不正事件絡みで問題視される中、「自民党内で健食にタッチするなというお達しもあった」(自民党に近い健食業界関係者)という。確かにその後、石崎氏が立ち上げた「新技術食品研究会」は、食品の機能表示への取り組みをみせたものの「健食は含んでいない」(石崎氏)と、距離を置いていた。石崎氏は落選を受け、志半ばにして引退を表明している。
「容易ではない」規制緩和
政官業の癒着で利権を貪ってきた自民党政権が崩壊、〝官僚主導政治の打破〟をめざす民主党政権の誕生で表示規制緩和へ期待感は高まる。が、懸念もある。
「そもそも健食業界と民主党の関わりは自民党政権下で辛酸を舐めてきた民主議員が支持母体の1つとして着目してきた」(健食関連業界紙社長)との見方もあるためだ。政権交代を機に、これまで薬事行政を牛耳ってきた医師会や薬剤師会とのパイプが太くなればこれまでと代わり映えがしない。業界団体が乱立する健食業界はこれに対抗する術を今のところ持たない。
また、今年9月には消費者庁が創設。消費者視点に立つ行政が支持される中で、安全面や広告表現で必ずしも消費者の支持を得ない健食の規制緩和に挑むことは容易ではなく、当面、様子見の状態が続くことになりそうだ。事業者は中長期的視野に立ち、近く始まる健食の「安全性認証」や、日本通信販売協会「サプリメント部会」が運用する健食の自主基準に沿った事業活動で市場環境の整備に努める必要がある。
※解説・健食取り巻く規制環境
健康食品は医薬品ではなく、食品の範囲からも少し外れる。このため適用法令も薬事法、健康増進法、食品衛生法、景品表示法などさまざま。例えば、医薬品的効果の標ぼうなど薬事法2条「医薬品の定義」に抵触すれば「無承認無許可医薬品」となる。だが、米国が1996年にOTO(市場開放問題苦情処理体制)で求めた健食の規制緩和を機に業界に風が吹き始めた。
01年には、従来からある「特定保健用食品(トクホ)」に加え、ビタミン、ミネラルなど規定成分を含む「栄養機能食品」が確立。「保健機能食品制度」として制度化された。ただ、許可食品が限定される制度に不満は根強く、その後も規制緩和の取り組みは続く。
同年には民主党議員が「健康食品問題研究会」を発足。業界団体のNNFAジャパンと新法制定を目指した。02年には日本健康・栄養食品協会が自民党議員と懇談会を実施。これを機に厚労省で機能性表示のあり方、ひいては法制化を視野に入れた「健康食品に係る制度のあり方検討会」が行われた。が、研究会は目立った実績を残さず休眠。検討会も「条件付きトクホ」など既成制度の枠拡大に留まった。
一方、03年には健増法と食衛法が改正。健増法では「著しく事実に相違する広告の禁止」等が、食衛法では健康被害が発生する恐れがある食品の販売禁止が盛り込まれる。薬事行政に限らず食品行政からも網がかかる2重、3重の規制環境はこうして今に至る。
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