通販各社の夏商戦は厳しい結果となった。本紙の聞き取り調査によると、主要な通販企業の夏商戦は前年同期比で減収。昨年来の不景気による個人消費の低迷が夏商戦を直撃。各社が強化している値引きによる価格訴求などが一定の効果を見せているものの、売り上げの目減り分をカバーできなかったようだ。またこのほど始まった秋冬商戦の立ち上がりの状況も各社、苦戦を強いられている模様だ。主な通販各社の夏商戦の結果と秋冬商戦の立ち上がり状況を見てみる。
不況で幕を開けた今年も9月に入り、折り返しを迎えつつある。「不景気は底が見えた」との見方もあるものの、本紙の聞き取り調査によれば、通販各社にとっては、まだまだ厳しい状況が続いているようだ。主な通販各社の夏商戦の結果を見ていく。
各社とも厳しい夏商戦の結果
千趣会の夏商戦は「カタログ事業売上高は前年上期比で7.1%減」と苦戦を強いられた。減収の理由については「個人消費の低迷や消費者の低価格商品(ニトリやユニクロなど)へのシフト」とする。また、夏カタログの発行部数を昨夏号よりも、156万部削減したことなども影響したようだ。商品ではプリントTシャツなどはヒット商品となった反面、ニットや軽衣料、スカートなどが伸び悩んだ模様。
ニッセンも6、7、8月と単月売上高ベースで前年同月を下回るなど夏商戦は苦戦。購買動向の変化に対応するためのカタログ発行数の絞り込みや梅雨の長期化など天候不順が影響。また、夏号および盛夏号で在庫処分セールを拡大したことで平均購入単価が大幅に下落。前年を下回って推移した模様だ。
セシールは「(夏商戦は)前年に比べて減少した」と回答。苦戦を強いられた要因についてはニッセンと同じく「天候不順は理由の一つ」とする。
ディノスも夏商戦については「第1四半期(4―6月)はテレビ通販は平日午前枠を中心に増収だったが、カタログ通販は減収で全体の通販売上高は減収」として、芳しくなかったとする。アパレルは「チュニックや麻がらみのニット・ブラウスが好調」だったが、リビング系では「クール寝具以外は全般的に伸びていない」と苦戦した。
ムトウは「全体で前年比数%のマイナス」とする。理由については「低価格商品が中心に売れたことで、オーダー単価のダウンにつながった」とする。また「ネットを中心に早期にマークダウン販売を実施したことの影響もあった」ようだ。
ベルーナは「9―10%減」。1,000―2,000円ゾーンの低価格商品の動きは良かったようだが、消費低迷に加え、カタログ発行部数を昨夏号よりも10%程度、削減したことが影響したようだ。
フェリシモは夏商戦の売上高については回答を避けたが、「当社商品は生活に密着したものだが、生活必需品ではなく、比較的景気に左右されにくいと考えていたが、消費者の買い控えの影響は受けていると思う」とコメント。前年度からの課題である顧客数の伸び悩みを払拭できず、やはり苦戦した模様。
イマージュは夏商戦の結果について詳細は不明だが「まずまず」とする。
ピーチ・ジョンは各社が減収の中、「(昨年と)同じ程度」とコメント。これは軽衣料やルームウエア系が全般的に好調だったことに加えて、「そうした商品群への商品構成シフトが功を奏した」とする。
生活協同組合連合会は「予算比では3.5%増だが、前年度比では5.4%減」とする。媒体減が減収要因だが、「商品企画の精度があがり、チラシの表紙や裏表紙での取りこぼしが抑えられた」ことが予算達成の要因だと分析する。商品では冷感タイプ寝具や価格を下げた値ごろ感のあるブラジャーなどが良く動いたようだ。
百貨店系では三越が「大幅なマイナス」と回答。これは商品センターの移転でセールカタログの発行が従来の6月下旬から7月下旬にずらしたためとする。大丸ホームショッピングは「2%程度の減収」。婦人服の減少が目立つとする。
秋冬の立ち上がりの状況は?
以上が主な通販実施企業の夏商戦の結果。振るわなかった夏商戦を終え、各社とも秋冬商戦で巻き返しを図りたいところだが、出足は別表の通り、芳しくないようだ。
千趣会の秋冬号の立ち上がりは苦戦している模様。「カタログ事業の年間予想の中で下期業績は前年同期比4.5%減と見込んでいるが、厳しい状況」とする。なお、秋号の発行部数は昨年度比で600万部削減予定。発行時期は昨年と同じ。
ディノスは「家具・寝具インテリアなどのリビング系はやや弱含み」。美容健康系は「好調」。ファッション系は「一部企画を除くと横ばいから、やや増」。リビング系の苦戦は「景況悪化に伴う住宅着工件数の下落もあるのでは」とする。なお、秋号の発行部数はリビング系では基幹カタログ「ディノスリビング」では前年比3%増、「ハウススタイリング」は同19%増に。カタログ事業全体としては「ほぼ前年並み」。発行時期の変更はない。
ムトウは「初動値はほぼ前年並み」。秋号は発行時期に大きな変更はないが、発行部数、ページ数ともに縮小。ベルーナは「発刊して10日だが前年並み」。値ごろ感のある買いやすい商品が売れているようだ。カタログ配布部数は前年比で「2―3%減」。イマージュは「まずまずだが客単価が落ち気味」としており、売り上げは同2―3%減程度で推移していると見られる。発行部数は「秋からネットにシフトし、約1割減」とする。ピーチ・ジョンは「苦戦中」。アウターやニットなど「地厚物の動きが弱い」とする。
ニッセン、セシール、フェリシモの秋の出足や売れ筋傾向などは「カタログ送付が始まったばかり」や「非回答」として不明。ただ、ニッセンは秋冬号のカタログ発行数を絞り込んだことや、単価のダウンなどで「昨年より(秋冬の)売上高が減少する」と見込んでいる。発行時期は昨年と変更はない。セシールは主要カタログの発行部数は前年比で10%増とする計画で巻き返しを図る。
下期へ向けての各社の戦略は?
秋冬の出足が芳しくない状況の中、下期はどのような販促策を描くのか。即効性のある価格訴求を強化する方向だ。
「価格訴求を行うにあたって、取引先に協力を要請しながら、原価率の改善に取り組む」(千趣会)、「ネット活用やテレビショッピングなどのメディアミックス。クーポン企画などのキャンペーンの実施」(ディノス)、「10月の社名変更に併せて各種販促キャンペーン」(ムトウ)、「カタログでも低価格商品を拡充」(ベルーナ)など、下期の拡販策の中心は各社とも価格訴求がメーンとなりそうだ。
不況でも売れる商品は?値ごろ感プラス着こなし提案
夏商戦および秋冬の立ち上がり状況は各社とも厳しい状況だ。とは言え、すべての商品が売れないということではなく、不況下でも好調に売り上げを伸ばす商品はある。それは「どんなもの」なのだろうか――。基本的には各社が積極的に実施する「値下げ」など価格訴求型商品が各社とも売れ行きがよい。ただ、価格訴求だけでは、消費者は動きにくく、そこに季節性や機能性、着こなしでの訴求などを加えた商品の動きが良いようだ。
例えば、千趣会の秋号の立ち上がりで動きが良い商品はファッション関連では「薄手タートル」(=写真)や「ポケッタブルダウンベスト」など。薄手タートルは秋の定番と言えるが、重ね着に着膨れない"薄手"という部分がポイントで「新たな需要喚起ができた」という。また、ポケッタブルダウンベストは「価格競争ではなく、薄手でポケッタブルになるダウンベストというユニークさで勝負した商品」でいずれも売れ筋商品となっている。同社では「価格訴求だけではなく、機能性や着こなしなどで訴求できているものが売れている」としている。
夏商戦で動きは良かった商品はファッション系では「プリントTシャツ」や「クロップドパンツ」「七部袖ブラウス」など。プリントTシャツは特に好調でカタログ「暮らす服」で販売するTシャツとしては過去最高の70万枚を販売する予定。クロップドパンツも昨秋から展開していたが、「20代女性が気にする度合いの高い腰や股のハリを気にせずにはけるクロップドを展開した」ことで好調に推移した。
ディノスの夏商戦で動きが良かったのはファッション系では「チュニック」が相変わらず好調。「麻がらみのニット・ブラウス」なども好調だったようだ。また、季節商品として「レインコート」「レインブーツ」が売り上げを伸ばした。また、シューズの動きが良く中でも「レザー素材のヒールものはヒールスニーカー、ヒールサンダルとも好調だった」という。
トレンドに敏感なネットではどうか。スタートトゥデイでは秋物の動きとしてレディースではブーツやパンプス、アクセサリー、ストールなどの小物類の動きが良いようだ。特に「ブーツはシュートブーツ、ロングブーツともに価格の高低に関わらず、全体的に好調」という。メンズでは「クロップドパンツ」などのパンツ類が好調に推移している。
価格訴求をしつつも、そこにいかに別の訴求を付加できるか。これが各社の明暗を分けそうだ。
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