本紙姉妹誌「月刊ネット販売」が調査した2008年度におけるインターネット販売売上高の上位250社合計額は1兆4818億円となった。(別表は上位五十社を抜粋して掲載)昨年調査の対象だった上位200社合計額との比較では約23%の増加。上位250社合計額にランキング圏外となった事業者が含まれる主要仮想モール3社のEC関連取扱高を加算した08年度の対個人向けネット販売市場規模の試算額は約3.2兆円となったようだ。(詳細は「月刊ネット販売」2009年9月号の特集「ネット販売白書」に掲載)
「月刊ネット販売」が調査した売上高上位250社のネット販売売上高(法人向けネット販売は除く個人向けネット販売)合計額は前回調査比でおよそ23%増の1兆4818億5400万円だった。
ここに調査対象外である小規模なネット販売実施企業の売上高を加算する目的から、楽天、ヤフー、DeNAの主要仮想モール3社の直近決算における流通総額(ヤフーの9467億円、楽天の6638億円、DeNAの1327億円)を本紙調査の250社合計売上高に加えると約3.2兆円となる。このことから08年度のネット販売市場規模は3兆円の大台を突破した模様。
昨年後半からの不景気の影響から、パソコンなど高額商品を扱う事業者の一部は減収もしくは伸び悩みを見せたものの、首位を独走するアマゾンジャパンを筆頭に、ニッセンを始めとする大手通販専業社などそのほかの事業者は「巣ごもり需要」など逆に不況を味方につけた形で概ね増収を維持。このほか、新規参入企業や中堅企業の業績の伸びが市場規模の拡大に貢献したようだ。
総合はアマゾンが依然首位独走
08年度のネット販売市場を分析するため、同市場をけん引する企業群を取扱商材別に見ていく。「総合」では、各社とも高い成長を見せた。首位のアマゾンジャパンのネット売上高は本紙推定で前年比14%増の2510億円。同社の業績をけん引するのは主力の「書籍」などメディア商品以外の家電や衣料品などの「非メディア」の取り扱い開始および同商材による売り上げの伸びと見られる。
昨年から今年かけても新規商材の取り扱いを進めており、生鮮品や加工食品、菓子、携帯電話関連商品、介護関連商品、ジュエリーの取り扱いをスタート。昨年11月には靴と鞄の専門通販サイト「javari.jp(ジャヴァリ・ジェーピー)」を新設。多様な商品を取り扱うことで、新規顧客の獲得のほか、既存の膨大な顧客に他商材の購入を促し、一客あたりの購買回数を高める「ショッピングポータル化」を進めている。今後もこうした戦略を強化していくと見られる。
一方、カタログ系の大手通販企業もネット販売売上高を順調に拡大させている。3位の千趣会はネット売上高が前年比6%増の663億円。4位のニッセンは売上高が前年比21%増の578億円となった。
千趣会はネット販売売上高自体の伸びは前年までの2桁増とはいかなかったが、商材ごとに専門サイトを設置するなどで他の媒体に依存しない「純ネット売上高」が同20%増の373億円と高伸。総通販売上高に占める「純ネット」の占有率は実に6割弱と確実にカタログに依存しない次代の通販にシフトしている。
20%を越える高い伸び率を見せたニッセンのネット販売は千趣会と同じく「純ネット」の拡大施策とともにモバイル通販に注力し、同売上高が前年比約50%増の147億円まで拡大したことなどがネット販売全体を押し上げた。同社もモバイルなどを軸に次期の通販に確実にシフトを遂げている。
14位のディノスや15位のセシール、21位のムトウなどのカタログ系総合通販企業各社も増収を維持。多少、伸び率は鈍化しているもの、千趣会やニッセンと同様、売上高額ではなく、「純ネット」や「モバイル」の売上高の伸びなど"ネット販売の中身"に変化が見られているようで、カタログ系通販各社は時代に即した通販にうまくシフトしつつあるようだ。
衣料品は不況が追い風で拡大
「衣料品」では不況が追い風となり、売上高を伸ばした企業が目立った。商品を供給するアパレルブランド側が落ち込む実店舗に代わってネット販売サイトへ積極的に商品を供給することになり、訴求力の高いブランドや商品の取り扱いが可能となったためだ。こうした恩恵を受けたのが、31位のスタートトゥデイや40位のマガシークなど。そろって2桁の増収となった。
衣料品にも不況の影響が出てはいるが、そうした「強い商品」の販売に加え、価格訴求を強化する施策などが奏功したようだ。例えば、マガシークはアウトレットサイト「アウトレットピーク」を展開し始めたが、本サイト「マガシーク」の売上高の伸び率(前期比16%増)を大きく上回る同37%増と大幅伸長している。
このほか、実店舗が好調なSPAのネット販売も順調に推移。22位のユニクロや43位の良品計画のほか、上位50位圏外ではあるが「ローリーズファーム」などを展開するポイントなども自社通販サイト売上高が同270%増の21億円と急伸した。
化粧品・健食もネット誘導進む
「化粧品」「健康食品」はネット専業社の台頭というよりも、10位のディーエイチシーや24位のファンケルのような大手通販企業が広告出稿先や受注をネットにシフトさせていることで、売上高も伸びているようだ。これら企業は以前は折込チラシや雑誌など紙媒体を売り場としていたが、費用対効果の利点からネット販売を強化、ネット販売売上高を伸ばしている。ただし、36位のケンコーコムのようにネットならではのロングテールで支持を受けて、業績を伸ばすネット専業社も台頭してきており、全体的に売上高を底上げしたようだ。
家電・PCは100億超え企業増加
「PC(パソコン)」「家電」は高単価のため、ネット販売市場に占めるシェアが高い。これまで好調な伸びを見せてきたが、明暗が分かれた。
「PC」は不況の影響と小型低価格の「ネットブック」の流行で2位のデル、13位のエプソンダイレクトなど上位勢の売上高は1桁減となったもようだ。
一方、好調を維持するのは家電。6位のヨドバシカメラは店舗と連動したサービスや出荷訂正の強化などが奏功し370億円(本紙推定)と今年も増収。8位の上新電機も300億円を突破している。20位のビックカメラと同社子会社で23位のソフマップは、それぞれ140億円を超えた。このほか独立系の25位のアベルネットと32位のムラウチドットコムも売上高100億円を突破している。
景気が悪化した昨年は、より安い商品を求めて価格比較サイトを活用する消費者が増加しており、軒並み好調な業績となったようだ。
表の見方
08年6~09年5月までに決算期を迎えたネット販売実施企業を対象に調査。上位50社を掲載した。無回答の企業は取材データや公表資料、民間信用調査を基に本紙推定値(「※」)を算出した。社名横「受」は受注比率から算出した売上高、「連」は連結業績をベースに掲載した。
調査対象は「個人向け物販」でデジタルコンテンツやチケット販売、宿泊予約、金融などの非物販やオフィス用品など法人も調査対象から外した。表の「全通販売上高の占有率」は原則、総通販売上高に占めるネット販売売上高の占有率。
表中、企業名横の「◎」は次の理由による。2位のデルは個人向け販売の推定値▼5位のパルシステム生活協同組合連合会は十生協のネット販売合計売上高▼8位の上新電機は手数料収入と無店舗販売等の合計売上高▼13位のエプソンダイレクトはカタログ・電話経由の売上高を含む▼16位のインデックス・ホールディングは連結の「コマース&出版」の数値▼18位のジュピターショップチャンネルは15カ月変則決算▼20位のビックカメラはテレビ通販などの売上高を含む▼26位のCCCはツタヤオンラインを吸収したTSUTAYAが09年4月に社名変更。同社の物販の推定値▼28位のネットプライスドットコムはグループの「ギャザリング事業」(ネットプライス)数値▼31位のスタートトゥデイは自社通販売上高のみ
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